町立金山診療所 主任理学療法士 加藤 良
■階段のすすめ
当町における第9期の介護保険料は大幅に引き下げられ、県内で比較しても平均的となりました。町民一人ひとりの健康志向が高まったことも、引き下げの一因かもしれません。別に使えるお金が増えるということはありがたいことです。これからも町民一致団結して、健康増進に向けて邁進していきましょう。
さて、いつまでも元気にいたいところですが、老化というものは付き物です。長寿で有名だったきんさん、ぎんさんのぎんさんは「人は足から死んでいく」というのが口癖だったようで、毎日かかさず30分歩くことを日課にしていました。確かに人の筋肉は下半身に70%集中しています。そして、衰えるスピードが早いのも下半身です。20歳の時の下肢の筋肉の量を100とすると、加齢により徐々に低下し始め、70歳ではおよそ半分までに減ってしまいます。筋肉が少なくなると、熱の生産が低下するため、高齢者に寒がりが多いのはこれが所以です。
前置きが長くなりましたが、加齢には抗えませんが、老化には抗えます。そこで、おすすめしたいのが階段の登り降りです。普段、楽だからとエスカレーターやエレベーターを利用していないでしょうか。名古屋市立大学の高石鉄雄教授の研究によると椅子から立ち上がるときの筋肉の働きを1とすると、階段の登りでは1・3倍、1段抜かしでは1・7倍、平地歩行では、0・4倍という結果になります。
少し目線を変えて消費カロリーから見てみると、体重50kgの人が階段を1段登るのに約0・1kCal消費します。10段登って1kCal消費する計算です。これを職場や外出時にすることで、意図することなく運動につながります。高齢者であっても、自宅の階段を使用したり、踏み台のようなものをつかって登り降りするだけで、かなりの運動になります。
日常の中で運動を行う時間を作ることは大変なことです。日常生活をちょっと工夫するだけできる運動はたくさんあります。健康増進のため、少しチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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