山形県立中央病院 消化器内科 佐藤 裕人
■早期発見が大事!食道癌のリスクと予防法
金山町の皆さん、こんにちは。私は山形県立中央病院消化器内科の佐藤裕人と申します。月に1度、診療所で胃カメラの検査を担当しています。本日は「食道癌」についてお話しさせていただきます。
皆さんは食道癌にどのようなイメージをお持ちでしょうか?胃癌に比べると、食道癌は耳にする機会が少ないかもしれません。胃癌と聞けば、多くの方が「ピロリ菌」を思い浮かべるでしょうし、ピロリ菌の除菌治療を受けた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、食道癌はピロリ菌とは関係がありません。それでは、食道癌のリスク因子とは何でしょうか?どうすれば予防できるのでしょうか?
食道癌は年間2~3万人がかかり、男性は女性よりも5倍かかりやすいと言われています。男性の癌による死亡原因の第7位にあたり、食道は細い臓器のため、癌ができると食事が通りづらくなり、生活に大きな支障をきたします。
食道癌の2大危険因子は「飲酒」と「喫煙」です。特に、お酒を飲むと顔が赤くなる「フラッシャー」の方は、食道癌のリスクが5~10倍高まると言われています。該当する方は、飲酒を控えることが重要です。また、喫煙は肺癌や喉頭癌など、多くの癌のリスクを高めますので、禁煙も強くお勧めします。
食道癌はStageIからIVまであり、早期発見が非常に重要です。StageIの早期であれば、内視鏡治療が可能で、治療成績も良好です。しかし、StageIVでは抗がん剤や放射線治療が中心となり、完治が難しくなります。ただし、最近では抗がん剤治療の進歩により、生存期間が延び、生活の質も向上しています。
最後になりますが、なんと言っても早期発見が鍵です。飲み込みにくさや胸の違和感を感じたら、それは食道癌のサインかもしれません。危険因子に心当たりのある方は、早めにご相談ください。このコラムが皆さんの健康維持に少しでもお役に立てれば幸いです。質問やご意見がありましたら、ぜひお気軽にお知らせください。
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