文字サイズ
自治体の皆さまへ

町立金山診療所だより ほっとクリニックvol.190

16/25

山形県金山町

町立金山診療所 小児科 医師 藤山 純一交通

■風邪(かぜ)のお話
寒くなって風邪が流行してきました。まわりにも風邪の人がけっこういるのではないでしょうか。風邪のほとんどはウィルス感染が原因で、寒さや乾燥によってウィルスが増えやすいので冬には風邪が多くなります。症状としては鼻水、咳、痰(たん)が一般的で、のどの痛み、熱などもあります。
鼻水は鼻の中の、痰は気管の分泌物で、ウィルスを奥まで入れないための防御反応として出ていて、咳は痰を外に排出するための生体反応なので、むやみに止めれば良いというものではありません。また、風邪は自然経過でも数日で治まるものであり、早く治す薬もないので特に治療を必要とするものではありません。医学の教科書ではそう説明されていますが、診察室でそう言われたら患者さんは怒って別の医院に行ってしまうだけでしょう。
鼻水・鼻づまりがあれば気分が悪いし、咳が出れば良く眠れないし、熱が出ればつらいし。そんな症状を減らして楽にするのが対症療法です。鼻水を減らすのは抗ヒスタミン薬で、蕁麻疹(じんましん)や花粉症にも使われます。咳が多い時には去痰薬で痰を減らしサラサラにして出しやすくします。鎮咳薬(咳止め)は痰が多い場合には適しませんが、咳で食べ物を吐いたり、眠れない場合などには使われます。解熱薬(熱さまし)は病気を早く治すものではありませんが、熱によるつらさや食欲不振を少しでも改善させるために使用します。よく気管支拡張薬のテープを貼っている子供さんがいますが、あれは喘息発作で気管を広げるために使う薬であって、風邪の咳には効果がありません。また風邪のほとんどはウィルス感染なので抗生物質も効果がありません。
水分・栄養・休養・睡眠を十分に取り、必要な薬を服用することで風邪からの回復が早くなります。外来では家庭・幼稚園・学校・職場などの流行状況を確認すること、診察で中耳炎、扁桃炎、副鼻腔炎、気管支炎・肺炎などを見逃さないこと、必要に応じてインフルエンザや新型コロナの検査、血液検査や胸部X線写真などを行います。昔から「たかが風邪」と言いますが「風邪は万病のもと」とも言います。軽いうちに対策を立てて、ひどくならないようにしたいものです。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU