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町立金山診療所だより ほっとクリニックvol.192

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山形県金山町

山形県立中央病院 脳神経外科 菅井 努

■認知症の治療と予防
皆さん、こんにちは。今回は皆さんが常日頃心配されている認知症についてお話します。認知症は高齢化社会の日本において今後さらに問題となる疾患で2020年の段階で630万人に達していると考えられますが、医療機関を受診していない人も加えると1000万人以上と推定されています。認知症には大きく分けてアルツハイマー病と脳血管性認知症に分けられ、最近はアルツハイマー病の割合が多くなっています。アルツハイマー病とは脳にアミロイドβという異常な蛋白が沈着し正常な脳細胞が減少していく病気で、アミロイドβは40代から沈着し始めると言われています。認知症になってしまうと徐々に日常生活に支障が出てきて徘徊や、性格の変化・介護への抵抗、寝たきりになることもあり改善することなく悪化していく疾患です。最近は軽度認知障害(MCI)の状態ならば改善が期待できる薬剤も出てきています。軽度認知障害とは認知症の前段階で日常生活に支障はないものの、年齢では説明できない記憶力の低下状態を指します。この軽度認知障害の時点で使用すると一定の効果が期待できるレカネマブ、ドナネマブの2つの薬剤が承認され日本でも使用できるようになりました。しかし軽度認知障害の状態のみで既に認知症になってしまった人には使用できないこと、1・5年の治療期間で年間数百万の治療費(そのうち自己負担は保険で1~3割)と高額であること、定期的にMRIの検査が必要など、実際一般の患者さんが恩恵をうけるまでには程遠い治療です。そこである程度認知機能障害が進んだ患者さんにも発症予防・進行予防として有効と言われている日常生活でできることを紹介します。まずは食事です。野菜、果物、豆類を積極的に摂取する、DHA、EPAが豊富な青魚を食べる、ポリフェノールが多い緑茶、赤ワインなどを飲むのが良いと言われています。豚肉もビタミンが多くお勧めです。次に睡眠ですが、アミロイドβは夜間に分解されると言われており7~8時間ぐっすり眠ると効果的と考えられます。寝過ぎは逆効果です。最後は運動でウオーキングなど30分程度の運動を週3回以上するのが効果的です。皆さんも日常生活を見直して心身共にお元気にお過ごしください。

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