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~カーボンゼロを目指して~ なぜ今脱炭素(ゼロカーボン) 第8回

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山形県飯豊町

今月は先月に引き続き、飯豊町地球温暖化実行計画の4つの柱「知る・学ぶ」、「減らす」、「創る」、「森を守る」から、「減らす」について説明します。

◆秋耕により得られる効果
秋耕とは、稲刈り後の稲や稲株を秋のうちに土中にすき込むことです。秋耕を行うことで次のような効果が期待できます。
(1)稲わらの腐熟促進
稲わらの腐熟(たい肥などがよく発酵して腐ること)を促進することができます。腐熟を促進することで、翌年の代かきが行いやすくなり、水稲の育成に必要なケイ酸などを土壌に還元させることや水田の保水力および肥沃(ひよく)度(土地肥えて作物がよく育つこと)の向上が期待できます。
(2)メタンガスの排出量削減
温室効果ガスとは主に二酸化炭素、メタンガス、フロン類などの気体を指します。その中でもメタンガスは二酸化炭素に次いで地球温暖化に及ぼす影響が大きく、与える影響は二酸化炭素の約25倍あるといわれています。
メタンガスは、水田水張り状態の下で稲わらなどの有機物が分解される過程で発生します。そのため、秋耕により腐熟を促進することでメタンガスの排出が削減できます。
(3)田植え後のガス害(わき)対策
秋のうちに稲わらを十分に腐熟することで、ガス害(水温、地温が20~30℃になり微生物の活動が活発化し、田んぼにすき込まれたワラなどの有機物が分解し、足を踏み込むと気泡が出てくること)の原因となる硫化水素の発生を抑制できます。ガス害は気温の高くなる5月~7月頃に発生し、田植え後の水稲の初期生育が遅れることで減収の要因となります。
町内全ての水田のうち、30%の水田で秋耕が行われるようになれば、年間約3850トンの二酸化炭素削減が期待できます。この量は2020年度における町の温室効果ガス排出量・吸収量の見える化結果(下図参照)から、排出削減目標2万4179トン-CO2に対し、15・9%となります。積雪地域の当町では、全ての水田で秋耕を実施するのは困難ですが、秋耕は温室効果ガス排出削減と水稲経営面でも効果があり、持続的な農業を展開していくためにも重要な施策です。
この秋耕を今後の営農活動へ広く展開するには、いかに温室効果ガスの削減に効果的か可視化することが必要かと考えられます。現在、秋耕による温室効果ガスの削減効果について山形大学と共同で実証調査の実施を計画しています。

問合せ先:役場住民課生活環境室
【電話】87-0514

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