佐藤仁史(ひとし)さん
中地区在住。株式会社グランファームIIDE取締役。会社勤務を経て、平成24年就農。両親とともに水稲や花き栽培に励む。
◆幼いころから農業が身近にあり就農
両親とともに水稲や花き栽培に取り組む佐藤仁史さん。昨年1月に法人化し、グランファームIIDEを設立し、スマート農業技術の導入に積極的に取り組みながら、農業に従事しています。
佐藤さんは、高校卒業後、県内企業へ就職。その後、父政市さんの勧めもあり、平成24年に就農しました。佐藤さんは当時を振り返りながら、
「私の家は代々農業を営んでおり、記録が残っている資料によると私で13代目になります。幼いころから祖父母や父母が農業に励む姿を目にしてきたので、いつかは自分も農業をするというのは常に頭にありました。学生の頃から手伝いをしていたので、会社員を辞めて就農することに抵抗はありませんでしたね」。
◆いかに作業を効率的に進めるかを検討
主に水稲栽培を担当している佐藤さん。つや姫、雪若丸、はえぬき、飼料米を16ヘクタール栽培しています。
3月下旬に種もみの準備、4月から6月は田んぼの土づくりと田植え、7月以降は除草などの管理、9月から10月は稲刈り、11月以降は次年度の準備や機械の整備など年間計画を立て、主に一人で作業をこなしています。
「水稲栽培は、田植えまでの作業が忙しく、夜明け前から働く時もあります。また、機械に乗っていると、気を使うため、肉体疲労の他に精神的にも疲労していると感じていました」。
そのような農作業や運転による疲労を軽減するため、GPS(衛星利用測位システム)機能搭載の田植え機やトラクター、農業用ドローン(小型無人機)を導入し、スマート農業に取り組むことを決意しました。
「トラクターにGPS機器を設置し、衛星地図によるほ場情報に基づき作業を行うことで、正確に田植えを行うことができるようになりました。また、運転の操作ミスにより畔(あぜ)塗り(※1)を壊すこともなくなりました。スマートフォンと連動して管理することもできて、省力化につながったと感じています。また、農業用ドローンを使用することで、薬剤を浴びることなく効率的に防除作業を行えるようになりました。ほ場を指示どおりにドローンが防除し、記録をデータで確認できるので、作業の振り返りにも役立ちますし、次年度の計画の参考にもなります」。
◆次世代に農業や食の大切さを伝えたい
佐藤さんは、他の農業者の方々とともに、地元第一小学校5年生の田んぼの先生をしています。
「子どもたちに、田植えなどの作業を経験したことがあるかを尋ねると、ほとんどが初めてだと答え、田んぼの作業はあまり身近ではないのかと思います。子どもたちは、手で苗を植えたり、カマを使い稲を刈ったり、初めての作業を楽しんでいるようです」。
子どもたちが植え、収穫したもち米は、千倉・飯豊子ども交歓会で餅つきをして振舞われます。
「子どもたちが田植えなどに関わることで、食の大切さに気付いたり、農業に興味を持ってもらえたらうれしいですね」。
◆農業に対する課題と今後の活動
佐藤さんは農業の課題について、
「農業従事者が減り、新規就農が少ない中で、どのように農地を守っていくかが課題だと思います。そのために、後継者の確立や若い世代に農業について知ってもらうことが重要だと思います」。
また、今後の活動について、
「地域貢献や未来につながる活動に参加していきたいです。また、今後経営面積が増えると思うので、さらなる省力化を目指し、育苗と代掻きが不要の乾田直播(かんでんじきまき)(※2)を実践したいです」。
代々続く農家を継ぎ、スマート農業や食農教育に力を注ぐ佐藤さん。今年も、食卓においしい米を届けるために農業に向き合います。
(※1)水漏れを防ぐために田と田の間の土を盛り上げること
(※2)畑状態の乾いた水田に直接種もみをまき、稲の生育後に冠水する省力的な栽培方法
◆最後に質問! 飯豊町の好きなところは?
田んぼに水が張られている風景が好きです。また、自宅の近くに残雪と桜を同時に楽しめる場所があり、そこで花見をするのが好きです。
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