◇外国人住民にとっての「第2のふるさと」を目指して
外国にルーツを持つ方々が地域に溶け込むことができず、ルーツである母文化のコミュニティの中だけで生活している例があるなど、日本人住民と外国人住民との交流が十分とは言えない状況があります。このため、お祭りなど地域の行事への参加を積極的に促すことにより、外国人住民が地域社会の一員として活躍し、国籍・文化による隔たりのない人間関係が構築されるように環境整備を進めていきます。
また、日本人と外国人の子どもを一緒に保育し、幼少期から外国の文化に慣れ親しむことで心の障壁をなくす国際保育を推進するため、保育所への通訳派遣などの支援を行うとともに、外国人の園児と意思疎通が図れるツールを保育士などと共同で開発し、全県に共有していきます。
■進化する国際交流・姉妹都市2.0
山梨県は全国に先駆けて、昭和35年にアメリカのアイオワ州と姉妹都市を締結しました。その後もブラジルのミナスジェライス州、中国の四川省、韓国の忠清北道、フランスのソーヌ・エ・ロアール県、ベトナムのクアンビン省と締結をしています。県では、外国人と日本人が互いの文化や考え方の違いを認め合う共生社会の実現を目指すとともに、行政だけでなく、民間が主導する友好関係を築くことで、国際交流の恩恵を県民の皆さんに実感してもらえる新たな取り組み「姉妹都市2・0」を進めています。
◇「形式的交流」から「実質的交流へ」
これまでの一般的な姉妹都市交流は、行政主導や形式的なものが多く、県民の皆さんにとって交流の意義が見えにくいという課題がありました。そこで県では、交流の真の価値やその効果を県民の皆さんに還元していける実質的な交流の在り方を築いていく「姉妹都市2・0」を進めています。
姉妹都市2・0では、行政の交流で築いた信頼関係を基礎に、文化、経済、青少年などの分野で民間同士の交流へと発展させていきます。現在、特に強化しているのは青少年交流です。これからの未来を担う中高生・大学生に参加してもらい、感受性豊かな若いうちから世界の文化や習慣に触れることで、将来世界へ羽ばたく人材を生み出すとともに、外国の方々とも友好関係を築き多様性を互いに認め合える共生社会の実現を目指しています。
また、それぞれの都市の産業や文化、地理、風土などの特徴を生かした交流も進めています。本県が世界に誇る水素製造技術「やまなしモデルP2Gシステム」や富士山をはじめとした観光資源などの魅力を戦略的にプロモーションすることで、新たなビジネス創出や観光による消費拡大などにつなげ、県民の皆さんが恩恵を受けられるような姉妹都市の交流を実現します。
姉妹都市の交流により、県内外に向けて豊かさの扉が開かれ、豊かさを呼び込む「開の国」の実現を目指し、今後も取り組んでいきます。
◇(新)ベトナム・クアンビン省
幅広い分野で連携し広がる可能性!
令和4年のベトナム政府訪問団の来県を契機に「世界遺産があり観光産業が盛ん」「再生エネルギーに注力している」など、本県と共通点が多いクアンビン省との交流が始まりました。昨年5月に知事が同省を訪問し、幅広い分野で具体的かつ実効性のある取り組みを進めることで双方が合意。9月に同省からの訪問団を招き、姉妹友好県省を締結しました。今年1月には県内高校生が訪問し、現地の高校生と交流することとしています。
◇ブラジル・ミナスジェライス州
姉妹締結50周年で交流をレベルアップ
ミナスジェライス州は貴金属の原料供給地で、本県は宝飾産業が盛んという縁から昭和48年に姉妹都市を締結。以来、同州の青少年オーケストラの来県公演や本県学生の短期留学などさまざまな交流を重ねてきました。昨年8月には長崎知事が同州を訪問し、青少年、スポーツ、観光、文化の分野で交流を推進する覚書を締結。11月には同州ロメウ・ゼマ知事が来県し、新たにグリーントランスフォーメーション(GX)、学術・芸術の分野を追加する覚書を締結しました。
◇韓国・忠清北道
活発な青少年交流や経済活動に高まる期待
民間交流が契機となり平成4年に姉妹都市を締結。令和4年に30周年を迎えたのを機に、経済、観光、青少年、スポーツなどの分野で協力する30周年記念合意書を締結しました。令和5年4月には忠清北道の訪問団が来県。11月には忠清北道の高校生10人が富士北麓地域を訪れ、本県の高校生と2泊3日寝食を共にしながら交流を深めました。成田空港からの直行便があり距離も近いことから、今後さらに活発な交流が期待されています。
◇アメリカ・アイオワ州
民間同士で広がる友好の輪
畜産が盛んなアイオワ州。過去には種豚が寄贈され、そこから県ブランド豚「甲州富士桜ポーク」が誕生しました。今年は県の職員を州立大学に派遣し、豚の受精卵移植技術の確立など、豚についての研究を進めることとなっています。交流の歴史が長い同州とは民間団体同士の自発的な交流も生まれています。近年は同州で行われているベーコンフェスティバルが本県でも開催され、食文化を通じて多くの人々が交流しています。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>