■デザインの力で日本を元気にする。
ー山梨デザインセンター始動ー
山梨県は、社会課題の解決や地域の活性化につながる新たな拠点として、2024年11月、県立美術館附属「山梨デザインセンター」を防災新館2階に開設しました。
デザインセンターでは、多摩美術大学美術学部統合デザイン学科の永井一史教授をチーフデザインオフィサー(CDO)にお招きし、3名のデザインディレクターと共に、山梨のあらゆる資源をデザインで結び付け、新しい価値を生み出していきます。
センター設立の目的は、デザインの力を活用して県の政策立案や地域資源の価値向上を図ることです。ここでいう「デザイン」とは単に美しい形にするだけでなく「誰のために」「何のためにするのか」を徹底的に考え、目的達成に向けて計画を立て、実行に移すプロセス全体のことを指します。
山梨県はデザイン思考を取り入れることで、県民の皆さんが本当に必要としているものは何か、どうすれば使いやすくなるかという視点から、政策やサービスを考えます。
また、地域が持つ資源や産業技術、人材を効果的に組み合わせ、これまで以上に価値を高めていきます。さらに、デザイナーやクリエイターのネットワークづくりの拠点として機能させながら、県民の皆さんも巻き込んで新たな価値が次々と生まれる場を目指します。暮らしをより良くする山梨県の「デザイン」に、どうぞご期待ください。
永井CDOと共に、センターのデザインディレクターに就任するのは次の3名です。それぞれの専門性を生かし、山梨県のデザイン振興を支援していただきます。
※詳しくは、本紙またはPDF版を参照してください。
◇県民一人一人が主役に。日常を創るみんなのデザイン
山梨県CDO兼デザインセンター長に就任した永井一史さんに、センターが目指すものを伺いました。
山梨県CDO兼デザインセンター長
永井一史さん
多摩美術大学美術学部統合デザイン学科教授
(株)HAKUHODO DESIGN代表取締役社長
2015年~東京都「東京ブランド」クリエイティブディレクター
2015~17年グッドデザイン賞審査委員長
「デザイン」と聞くと、多くの方はアーティストやクリエイターの仕事を思い浮かべるかもしれません。しかし、私たちが目指すのは、特別な才能を持つ人だけのためのデザインではありません。むしろ、県民の皆さん一人一人が持つ創造性を引き出し、日々の暮らしや仕事に生かせる「デザイン思考」を広めていくことが私たちの使命です。
豊かな自然、歴史ある文化、そして世界に誇る富士山。山梨にはワインや果物、ジュエリーなど、すでに高い評価を得ている数多くの「文化的テロワール」があります。そうした県の価値を深く掘り下げ、デザインの力でより多くの方に山梨の魅力を伝えていくこともデザインの重要な仕事です。
そのために私たちは、まず県庁にデザイン思考を導入することから始めます。職員向けの研修を通じて、県職員の皆さんと共に、県民の真のニーズを深く理解し、それに応える政策を生み出していきます。より効果的で必要な行政サービスへと生まれ変わっていくはずです。
同時に、県内の事業者の方々、そして将来を担う中高生にもデザイン思考を広めていきたいと考えています。特に教育の分野では、単に絵のうまさを競うのではなく、新しい発想や問題解決能力を育む取り組みを行っていきます。将来的には教育委員会や各学校と連携し、デザイン思考を取り入れた授業の実現を目指します。
デザインセンターの役割はこのような活動の拠点であるとともに、県内のデザイナーやクリエイターが集うコミュニティハブになることです。さまざまなイベントやワークショップを通じて、クリエイターだけでなく、あらゆる分野の方々が集い、学び合える場所を創造していきます。
デザイン思考を通じて、私たち一人一人が山梨の未来を創り出す主役となる。暮らしの中で「あ、これ使いやすくなったな」「山梨って魅力的だな」と感じていただける変化を生み出していきたいと考えています。その過程に、ぜひ皆さんも参加してください。一緒に山梨の未来をデザインしていきましょう。
問い合わせ先:山梨デザインセンター
【電話】055-223-1796
<この記事についてアンケートにご協力ください。>