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みなさんの健康

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山梨県中央市

■レビー小体型認知症
山梨大学医学部附属病院 精神神経医学 助教 古屋昌宏

レビー小体型認知症(DLB)はアルツハイマー型認知症(AD)の次に多い変性性認知症です。異常な蛋白が脳の広範囲に拡がることで、さまざまな症状を示します。ありありとした繰り返す幻視や錯視(カーテンが人に見えるなどの間違い)が特徴で、それに伴う被害妄想もみられます。一方でパーキンソン病の運動症状(筋肉のこわばり、動作緩慢など)もあります。意識がはっきりしていて受け答えも普通にでき、なんともない時とぼんやりして元気がないように見える時との差が激しいのも特徴です。自律神経症状も重要で、起立性低血圧、便秘、排尿障害などがあり、低血圧で失神を起こすこともあります。数年前にレム睡眠行動異常症(RBD)が診断基準の中核的特徴に加わりました。RBDは脳は夢などをみて活動し、体は弛緩して動けない状態にある睡眠中のレム期に、夢と同期して寝言や異常行動(声を上げる、横に寝ている人を殴るなど)を起こす症状です。認知症と診断されるかなり前から出現します。同じように前駆症状としてうつ状態があり、そこから徐々に進行していく患者さんも少なくありません。さらに、妻をみて本物は別にいる、他人をみて知人が変装している、といった人物誤認の症状は他の認知症よりも多いといわれています。認知機能障害は初期ではADのように記憶障害はありますが、ADが物事を記憶できないのに対して、DLBでは記憶できても思い出しにくいのが特徴で、ヒントで分かることも多いです。逆に意志を持って計画し物事を効果的に行うという遂行機能は障害されやすいといわれています。病初期では自律性は乏しいものの、物忘れがなく、認知症と気づかれないことが多いです。幻覚や妄想といった症状から精神病と診断されていることもあります。
根本的な治療はありませんが、ADと同じように進行を遅らせる薬があります。これは幻視や認知機能の変動も軽減することがあります。時に抗精神病薬を使うこともありますが、DLBは抗精神病薬に過敏であるため、逆にパーキンソン症状を悪化させることもあり、注意が必要です。薬以外では錯視が起こらないように部屋を明るくする、物を立てかけない、デイサービスを利用し生活リズムを整える、などがあげられます。介護では寝たきりにならないための転倒予防が重要で、具体的には筋力低下を予防するリハビリが大切です。

企画 一般財団法人 里仁会

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