江戸時代末
history No.48
◆明暗寺(みょうあんじ)の尺八(しゃくはち)
虚無僧(こむそう)からの感謝のしるし
尺八は、普化宗(ふけしゅう)にとって最も重要な宗具の一つで、これが吹けないと虚無僧としての免許はもらえず、諸国を托鉢(たくはつ)することもできませんでした。
この尺八は、明治時代初めの明暗寺(乙黒)廃絶に際し、寺に尽くしてくれた隣家の名主田中半左衛門へ、本山の鈴法寺(れいほうじ)(東京都青梅市)三十三世海我(さんじゅうさんせかいが)住職から、お礼の品として贈られたものです。
尺八の長さは、一尺八寸(約54.5cm)を基本としますが、この尺八は二管とも一尺九寸(約58cm)となっています。朱色に塗られた籐(とう)による割れ止めが鮮やかで、歌口(うたくち)はクジラのひげと伝わります。
おそらく150年以上経過している尺八ですが、ひび割れ一つなく良好な状態で、音もしっかり出ます。虚無僧の出した150年前の音色です。
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