◆人生会議で考えたこと教えてください
山梨大学医学部附属病院 看護部 緩和ケア認定看護師 武田陽子
人生100年時代といわれる社会の中で、誰もがいつまでも健康であり続けたいと思い生活しているのではないでしょうか。人生の岐路に立つ時、自分らしく生きていくためにはどうしたらいいのかと悩み、この先の人生設計を考えているのではないでしょうか。
2018年に厚生労働省からアドバンス・ケア・プランニング(ACP)という考えを「人生会議」の愛称で発表され話題になりました。アドバンス・ケア・プランニングは、もしもの時のために、あなたの望む、医療やケアについて前もって考え、家族や信頼する人、医療・ケアチームと繰り返し話し合い、その内容について共有する取り組みのことです。この話し合いは、あなたの希望や大事にしていること、望まないことを皆で同じように理解することが重要となります。
命にかかわるような大きな病気を身近に感じた時、その治療方法について、医療スタッフに質問し、話すことは緊張と不安から言葉にならないと思います。治療や療養生活について自らの力で、将来に備えて「こうして欲しい」、「これはしないで欲しい」と表すことが「人生会議」に繋がります。日常生活の中で「もし、こんなことになったら」と想像して話すことがあるかもしれません。その会話の中には、人それぞれ大事にしている考えを話されています。
医療・ケアチームは、医療や介護ケアを受けながらその人らしく最期まで過ごす事ができるように、治療や療養環境を整えることで支えていきたいと考えています。最期までその人らしく過ごす事を支えるためには、その人が大切にしている思いや価値観を理解する必要があります。人生の最期について「会議」として場を設けて話すことは、緊張や不安、つらさ、悲しさを感じることがあるかもしれません。そのため、普段の会話から「あの時こんな話をしていた」、「以前こうして欲しいと言っていたな」と思い浮かべ、周囲の人と医療・ケアスタッフに話すことが将来に備える「人生会議」になります。
「人生会議」と聞いて考えたことを医療ケアスタッフにも教えてください。
企画 一般財団法人 里仁会
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