■健康いきいき情報(特別版)
~大切にしたい生活のために~
いつまでも自分らしく
リハビリテーションってご存じですか。
リハビリテーション(以下「リハビリ」といいます)とは、単に訓練を指す言葉ではありません。病気やケガなどで障がいを抱えてしまった方が、再びその方らしい生活を取り戻し、豊かな人生を送ることができることを意味しています。
介護が必要な状態になったとしても、介護保険サービスなどを利用しながら、リハビリを行うことで、心とからだの状態を元に戻していくことができます。
また、すべて治ることがなく、障がいが残ったとしても、その方に合った身体の使い方を教えてもらったり、動きやすいように環境を整えたりすることができます。専門職員からのアドバイスを受け、工夫をすることで、病気発症前の生活のように戻っていくことができるようになります。
今回ご紹介するお2人は、ご自身の「大切にしたい生活」を送るため、リハビリを続けることにより、体力を取り戻し、障がいを持ちながらでも、工夫し、元の生活を送っています。
◆深澤 修さん 75歳(長澤)
造形作家
◇突然の病から
それは突然のことでした。造形作家として県内外で活躍していた、深澤修さん(当時62歳)は、東京で個展の準備をしながら、忙しく過ごしていました。オープニングレセプションで乾杯しようと、山梨から持参したお気に入りのワイン。それを口にしたわずかあとに、脳内出血を発症してしまったのです。そのまま都内の病院に運ばれました。
目が覚め、あれだけ自由に使えていた手が、言うことをきいてくれない。深澤さんにとって、辛い毎日が始まりました。
その後、山梨のリハビリテーション病院に転院。5カ月間は車いす生活を送りました。
◇復権~リハビリテーション~
「このままでは終われない」「また作品を造りたい」という強い思いから、懸命に訓練を続けました。動かしたい筋肉を動かそうとしますが、なかなかうまくいかない。リハビリは、筋肉に言葉や目からの信号を伝え、悩が脳機能を呼び覚ます作業ということを感じ、「60年以上無意識にしていた脳機能と身体との関係、それに合わせて自分の身体への思いやりへの怠慢を知った」と、語ってくれました。
退院するころには、杖を使って歩けるようにまでなりました。そして、その思いを忘れることがないよう画文集「復権」として残すことにしました。
町内にある自宅に戻ってからは、介護保険サービスの半日型デイサービスに週1、2回通いながら、作品を作り続けました。
病により、手に指令が届かなくなっても、リハビリによって「脳だけでなく、同時に手をはじめ、身体全体で考えている」ことを知り、いまでは、身体全体から美しいものが創造される気がしているそうです。
そして今年6月。半日型デイサービスを終了することとなりました。これからもずっと作品を造り続けるため、そして何より、自分らしく生きるため、週1回ジムで体力づくりを続けていくそうです。
◆深澤 一守さん 74歳(長澤)
会社経営
◇歩いていける所に「いきいき百歳体操」を
長澤区にお住まいの深澤一守さん、74歳。会社を退職後、これまで培った経験やノウハウを活かし、会社を創業し、都内を行き来する生活を送っていました。しかし、平成30年、脳梗塞を発症しました。幸い治療が早く、一命はとりとめ、リハビリテーション病院において懸命にリハビリを重ねましたが、左半身に麻痺が残ることとなりました。
退院後は、介護保険サービスの半日型デイサービスに週1、2回通いながら、自宅で経営する会社の仕事を続けられています。コロナ禍において、なかなか都内に行くことは難しかったものの、最近ようやく週1回程度通うことができるようになり、これにより、「以前の生活にまた一歩近づいたようだ」と笑顔で話してくれました。
そして、今年9月。半日型デイサービスを終了することとなりました。
◇新たなステージへ いつまでも夢を持ち続けたい
その後深澤さんは自宅を改装することを決意しました。その理由は、「いきいき百歳体操」をする場として、改装した自宅の一部を開放することとしたのです。深澤さんのこの行動力に、いつも周囲は驚かされてばかりです。
◇多くの方の居場所として
この日も、ご近所の方がたくさん集まっていました。深澤さんが用意したテレビの前で、みんなで百歳体操。深澤さんは言います。
「町のすべての方が、歩いて行ける距離に、こんな場所があったらいいと思いませんか。」
◆これからのこと、お話しませんか
年を重ねても「こんな自分でいたい」「こんなことができたらいいな」という思いがあると思います。
地域包括支援センターでは、来所相談や訪問をとおして、一人ひとりの身体や生活の状況についてお話を伺い、どのような生活を送っていきたいのか、それを実現するには何が必要か、などを一緒に考えます。そして、適切な保険・医療・福祉サービス機関や、町内にあるジムや、集まりの場などをご紹介し、つなげるということを行っています。
また、今はないけど地域にあったらいいなと思うものを、専門職員と協力して作っていくことも、行っています。
いつまでも自分らしく生活したいけど、少し不安が…など、どのような相談でもかまいません。高齢者の総合相談窓口、「地域包括支援センター」に、ぜひご連絡ください。
問い合わせ:地域包括支援センター
【電話】22-4615
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