山梨県と神奈川県の県境の山である明神山。パノラマ台はその中腹にあり、山中湖村随一の景勝地です。
しかし、明神山は山体崩壊の危機にあります。その要因は、ハイキングコースの踏圧と山頂からの流水による洗堀です。そこで山中湖村は明神山・パノラマ台周辺整備計画を作成し、土地所有者である山梨県と協力しながら、明神山を保護する活動を開始しました。
明神山は山頂に向かうハイキングコースが人気ですが、長年の踏圧と山頂からの流水により大きく削れ、高さ1メートルほどの沢になっている箇所もあります。そこで整備計画の中で、既存のハイキングコースを廃道にし、新たなハイキングコースを設定しました。
そういった取り組みの中で、流水により地盤の浸食が進んでいるパノラマ台を守ること、また、明神山の山体崩壊についての対策を含んだ新たな観光施策として、第一段階ではパノラマ台ウッドデッキ構想を計画しました。
■本計画には、5つの計画方針があります
1.地形浸食の補修・抑制を図り、持続利用可能な安全に配慮した計画とする
対象地付近は洗堀による地形浸食が進行しているため、現況地形・地盤への負担を最小限に抑えるとともに、浸食個所の補修・抑制に関する整備も合わせて計画しています。
2.誰にとっても利用しやすい場となるような施設計画とする
車いす利用者や高齢者でも利用しやすい場となるよう、可能な限り勾配を抑える他、公衆トイレの様式化や多目的トイレの導入、駐車スペースの拡充等、だれにとっても利用しやすい場所となるような計画をしています。
3.視点場の変化によって多様な眺望体験ができる張り出し型の展望台を整備
パノラマ台は、単に広がりのある風景を眺められるというだけでなく、少しの移動で視点場の雰囲気が変化します。これまでより印象的な眺望が得られるよう、眺望方向への張り出し型の展望台を計画しています。
4.アースカラーを基調とした施設計画とする
山中湖畔から見たときに展望台だけが周囲から浮かないよう、周囲の自然景観と調和するよう計画しています。
5.登山道整備と調整の取れた計画とする
付け替えを検討している登山道の中継地点となる場所であるため、双方の計画に支障のないよう調整を図ります。
■ウッドデッキ構想
(1)パノラマデッキゾーン
・展望台の始まりの場所として、パノラマ景観をより印象的に見せられるよう眺望方向に開けた水平方向の広がりを強調した幅広のデッキです。
・既存の桜を活かし、その周囲に休憩場所を配置することで、木漏れ日の中でゆったりとしたパノラマ景観を楽しむことができます。
(2)スカイデッキゾーン
・より雄大なパノラマ景観が楽しめるよう、張り出した地形形状を活かしたデッキです。
・現状の平場とは別に、地形に沿ってデッキを配置し、やや背の寝た帯状のベンチを設け、くつろいだ状態でパノラマ景観に加え空の眺望も楽しむことができる場とします。
(3)クラウドデッキゾーン
・眺望方向に張り出した浮遊感のあるデッキです。
・中央部に階段状の小ステージを設けるとともに眺望方向の柵を透明柵とし、雄大なパノラマ景を前に浮いているような感じを楽しむことができる場とします。
・場の特徴を生かし写真撮影スポットとしての利用も期待します。
ウッドデッキ整備後は、洗堀している直登ルートを自然に沿った現状復旧を行うことで、踏圧や雨滴の影響を軽減し、山体崩壊を防ぐ第一歩とします。
また、質の高い観光地として整備することにより、多くの人たちが訪れ、明神山に興味を持っていただくことで、保護活動の普及にもつながります。たくさんの人たちの協力により、自然を守ることにつながる整備を現在山梨県と協議しながら計画していますので、ご理解とご協力をお願いします。
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