■花々の栽培による産業と観光が連携した新事業 花の村構想
▽佐藤 仁孝さん
山中湖村の新たな地域産業のきっかけとなる企画を行うことを主な業務として、令和4年6月に地域おこし協力隊として就任させていただきました。
私の地域産業の開発テーマとして、花々の栽培による産業と観光が連携した新事業「花の村構想」の推進を掲げております。具体的には、村の重要な観光施設である花の都公園周辺に、高冷地ならではの美しい花々の栽培を拡大し、山中湖村の新しい特産物として花き市場への出荷と花に溢れたより魅力的な観光地づくりを目指すものです。
◆活動の記録
就任1年目は、国内最大手である株式会社大田花きの協力を得ながら、山中湖村の気候条件に合った切り花や枝物の品種の調査を主に行いました。また「花の村構想」の関連イベントとして開催した「2022年フラワーアウトフェスティバル」のスタッフとして企画や運営に携わりました。
就任2年目は、試験栽培の第一段としてブルーベリーの苗木を村の方々の協力を得て植栽しました。植栽したブルーベリーは果実を採取するのが目的ではなく、春先に花や実が付き始めた枝と晩秋に紅葉した枝を切り取って鑑賞用として市場に出荷するのが目的です。単にブルーベリーといっても品種は100種類以上あり、今回の試験栽培では出荷に適していると思われる8種類を選びました。昨年は夏の高温と干ばつにより植栽した苗木の発育があまり良くありませんでしたが、新芽が発芽して元気に再生することを今年は期待しています。
またこの年に「早生桐」という品種の桐の木を試験的に定植しました。早生桐は5年間で直径が40~50cmにもなる桐の品種で、成長した木は無垢材や集成材に加工し家具や建築物に利用がされる他、端材は高品質な木炭やバイオマスペレットとして活用できるため、SDGsの取り組みとしても注目されています。植物に関連した新たな山中湖村の産業用素材として早生桐の肥培管理を行いながら発育状況を観察しています。
そして就任最後の3年目ですが、山梨県と株式会社大田花きが1月に連携協定を締結し、県内の花き生産額100億円を目指すと発表したことで、山梨県全域で花き産業が盛んになると予想されます。山中湖村でも今年から本格的に花々の試験栽培を開始する予定なので、栽培する圃場の整備、種苗や苗木の手配、栽培手法やスケジュールの確立、担い手となる人材の確保等、試験栽培の準備に向けて手抜かりが無いよう気持ちを引き締めて業務を遂行していく所存です。
地域おこし協力隊の任期終了後にも、山中湖村で自身が花き産業の関係者として定着ができる豊かな生活基盤を作り出していきたいと思います。
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