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自治体の皆さまへ

市立産婦人科医院が「うまれ」て7年。 これまでと、これから。

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山梨県山梨市 クリエイティブ・コモンズ

7年前――平成29年6月1日、市立産婦人科医院が山梨市に「うまれ」ました。市などの地方公共団体が施設を設置し、その運営を民間に委託する方式として全国初の試みとなる『公設民営』の産婦人科医院です。運営については、中村雄二院長が理事長を務める東雲会に委託しています。
将来にわたって継続した産婦人科医療をこの地域に確保し、人々の健康・妊娠・出産・育児を支援するために、「うまれ」たこの施設。
安心して子どもを産み育てることができる環境は、当たり前のように見えますが、診療所の分娩取り扱いの中止や分娩可能な病院の集約化が進み、産婦人科が減少しました。現在、県内にある分娩施設は15施設(7病院、8診療所)、峡東地域では市立産婦人科医院のみと限られています。
山梨市民のみならず、峡東地域・山梨県に生活する女性がライフステージのすべてにおいて、常に健康で自分の理想を追い求め、自分らしくいきいきと輝くことができる環境、そして安心して子どもを産み育てることができる環境を整備すること。そのためには、行政だけの力でなく、多くのみなさんの理解と協力も必要です。
未来を担う子どもたちと多くの女性をサポートする市立産婦人科医院。7年経過した今ここからたくさんの幸せが「うまれ」ています。
全国的にも分娩数が減少する中、市立産婦人科医院は令和2年度以降、年間400件を超える分娩数となっています。令和5年の市民の分娩のうち、およそ73%が市立産婦人科医院で「うまれ」ています。

■山梨市民の施設別出生数

*市民の分娩の約7割が市立産婦人科医院によるもの

■産婦人科が近くにあることは“安心”です
◇3人を市立産婦人科医院で出産した名嘉眞(なかま) 美加さん(本紙表紙)
夫婦ともに県外出身で、近くに頼れる人もおらず、初めての妊娠・出産は不安ばかりでした。市立産婦人科医院では、担当の助産師さんがとても親切にしてくれたので、とても救われました。3人とも市立産婦人科医院で出産し、同じ助産師さんに担当してもらったので、2人目、3人目は安心して出産できました。助産師さんがそばにいてくれるだけで心強く、ほっとする気持ちになりました。
また、入院中の食事がとても美味しくて…知人におすすめしたことがあるくらいです(笑)。
産婦人科が近くにあるということは、とても大事なことですね。いざという時、すぐに病院に行くことができるので、安心感があります。

*心強い医療スタッフがみなさんをサポートします!

■市立産婦人科医院における市町村別出生数

*峡東3市を中心に年400人を超える赤ちゃんがうまれています

■峡東地域唯一の産婦人科として、地域に必要とされる産婦人科医院を目指します。
◇山梨市立産婦人科医院 院長 中村 雄二 先生
医療法人東雲会が、山梨市立産婦人科医院の指定管理者となり7年が経ちました。中村産婦人科医院時代の分娩数はおよそ300件でしたが、現在は400数十件にまで増加しています。県全体の分娩数が年約5%減少していることを考えると、これは驚異的な数字です。令和5年の分娩数では、県立中央病院、山梨大学附属病院に次ぐ県内3番目に多い分娩数となっています。
また、市内の分娩の約7割が当院で行われており、婦人科の患者についても手術や癌の治療こそ行っていないものの、子宮頸がん検診やHPVワクチンの接種、一般的な婦人科疾患に対しても可能な限り診療を行っています。地域の産婦人科として、まずまずの成果を挙げてきた7年間だったと考えています。
産婦人科に限らず、地域における医療機関の目指すところは、患者のニーズに応えることと考えています。私たちは中村産婦人科医院を開業して以来27年間、地域の産婦人科として活動してきましたが、地理的・精神的に気軽に受診できることが重要と考え、診療を行ってきました。山梨市の女性にとって身近に感じてもらえていることと思います。
公設民営の形でこの施設を運営することを決断し、24時間365日稼働する施設を維持するためのコストを見込んだ市の決断は素晴らしいものです。産婦人科を取り巻く環境は、この構想が始まって10数年が経つ間に一段と厳しさを増しています。分娩数の減少、産婦人科医師数の減少、若者の減少、分娩費用の保険化による実質分娩費の値下げ、インフレによる光熱費および物品の値上げ、人件費の高騰など、多くの課題があります。これからも私たちは、これらの課題に立ち向かい続けなければなりません。
地域の医療機関は重要なインフラです。峡東地域に一つしかない産婦人科医院として、私たちの役割は極めて大きいと考えています。
しかし、地域に赤ちゃんが生まれなければ、産婦人科の存在意義も薄れてしまいます。この7年で想定以上の成果を挙げていますが、今後の7年間、またその先を見据え、山梨市にはしっかりと少子化対策を講じていただきたいです。そしてこの地域で私たちが必要とされるのであれば、私たちは患者のニーズに柔軟に対応し、地域にふさわしい産婦人科医療を提供できるよう努めてまいります。

問合せ:健康増進課健康企画担当
【電話】内線1167

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