■毎年黒字で、財政指標も基準を下回っているけれど…
前ページの決算報告を見ると、一般会計、特別会計ともに歳出よりも歳入が多く、黒字で報告されています。また、過去の広報を見ても毎年黒字での決算報告となっています。財政健全化の指標も国が定めた基準より下回っており、一見すると町の財政状況は悪くないように見えます。町への問い合わせにも「毎年黒字報告なのに、どこが非常事態なのか?」、「財政は悪くないと聞いていたのにいきなり悪くなったと言われてもピンとこない」などの言葉をいただいています。
では、なぜ町は財政非常事態宣言を発出したのでしょうか。理由の1つに、先月号の広報2ページ目にも書かれている「町税や国・県からの交付金などでは賄えない部分(赤字)は、地方債(借金)・基金(貯金)で賄う状態が慢性的に続いている」ことが挙げられます。その根拠となる資料が下の表にある「普通会計決算額の推移」です。
この表にある「実質的な収支」を見ると、直近の町の収支バランスを知ることができます。
▲印がついている年度は、単純な収支の差額(形式収支)では黒字に見えていますが、実質的には基金などの取り崩しを行い赤字だった年度です。財政運営において、5年連続で基金の取り崩しなどを行いやりくりしていたことを意味しています。
収入が増えない中で、このような状態を長く続けることは難しく、7年後の令和12年度には貯金が底をついてしまい、財政破綻することが推計されています。収支のバランスが崩れている状況を抜本的に見直し、財政破綻を未然に防ぎ、明るい未来のために使えるお金を確保していくことが「財政非常事態宣言」の真の目的です。
◆普通会計決算額の推移(歳入総額の中には、基金の一部が「繰入金」として含まれています)
普通会計:一般会計のほか、特別会計のうち公営企業会計に係るもの以外の会計間の重複額等を控除した純計額のこと。
形式収支:歳入総額から歳出総額を単純に差引いた額のこと。
実質的な収支形式:収支から基金の取り崩しなどの影響を加味した実質的な収支の額のこと。
令和4年度は黒字でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための財政支援などによる一時的なものであり、財政運営の抜本的な見直しが必要であることに変わりありません。
問合せ:町財政課財政係
【電話】055-272-6091
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