■続けること苦労することそれが近道
陸上競技男子やり投げ
坂口正芳(さかぐちまさよし)
Profile:西八幡在住。愛媛県出身。令和4年7月にフィンランドで開催された世界マスターズ選手権のやり投げ男子60~64歳の部で54m39を投げ、同クラス日本新記録で優勝。現在は、今年スウェーデンで開催される世界マスターズ選手権に向け、日々練習に励んでいる。62歳。
「苦労しなければ、見られない景色がある」と話すのは、令和4年にフィンランドで行われた世界マスターズ選手権、やり投げ男子60~64歳の部で、日本新記録となる54m39を投げ、優勝した坂口正芳さんです。
高校時代、陸上競技の長距離種目の選手だった坂口さんは、先輩がやり投げをしている姿を見て、「面白そう」との思いから、やり投げを始めたそうです。その後、高校3年生の時に、四国高校選手権で優勝し、中京大学に進学してからは、国体2位、インカレ2位など好成績を残しました。
投てき選手の中では、小柄な坂口さんが、好成績を残せるようになったのは、大学時代に指導を受けた室伏広治スポーツ庁長官の父重信さん、母セラフィナさんとの出会いが大きいそうです。元やり投げ選手のセラフィナさんに、力に頼らない効率的な投げ方を教わり、「来年は70m飛ばせる」とのセラフィナさんの予言どおり、その翌年には71mと、それまでの自己ベスト58m90を大きく上回る記録を達成しました。「自分でも思いもよらないパワーが出る時があります。大会でその力を発揮し、好成績を残せたときは嬉しさのあまり、一晩中眠れませんでした」とますますやり投げにのめり込むようになったそうです。県内の新聞社に就職した後も競技を続け、平成9年には日本実業団対抗選手権で初めて日本一に輝きました。
令和4年7月にフィンランドで開催された世界マスターズ選手権では、春先に膝を痛めて歩くのも辛く、満身創痍の状態でした。恩師の重信さんから痛み止めの助言を受け、6投目の試技でベスト記録を出しました。
「1か月まともに歩くことができない状態で、日本記録を出し、世界一になることができました。また自分でも信じられないようなパワーが出たんです」と嬉しそうに話す坂口さん。
日本一、日本新記録、世界一を達成し、残る目標は「世界新記録」のみ。現在も3日に1回、過酷なトレーニングを積む坂口さん。「今後いずれかのクラスで世界新記録を出せれば良いです。苦労を惜しまず、続けること。それが一番の近道です」と想いを語ってくれました。
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