■学校の一風景から
羽島郡二町教育委員会 教育長 野原弘康
所用があり、徒歩で目的地に向かう時のことでした。北小学校の前を通りがかると、多くの児童が元気よく運動場で遊んでいました。コロナ禍の残像が脳裏に焼き付いていたこともあり、何だか安堵の気持ちを抱き、しばらく東門から見ていました。
鬼ごっこで一生懸命走っている子、大きな声を上げて笑っている子、ドッジボールを思いっきり投げている子、登り棒を上っている子など…一人ひとりは本当に生き生きしていました。その中には多く先生方の姿も見られ、ほほえましく思うとともに、嬉しさがこみあげてきました。
しばらくすると、ある児童が私の方を指さし、近くにいた先生に「あそこにへんなおじさんがおる。」と伝えていました。先生の困った表情が感じ取られたので、門扉越しではありましたが、「教育委員会のおじさんだからだいじょうぶだよ。ちょっとこっちへおいで。」と声をかけ、名札を見せました。一人の子が駆け寄ってくると、それにつられて数人の子が私のそばまできて、「一緒にあそびたいな」と声をかけてくれました。時間の関係で遊ぶことはできませんでしたが、子どもらしい純粋で素直な言葉は、私の心を清々しいものにしてくれました。
時代は変われども、子どもたちの遊びに対する思いは、私たちが子どもの頃と同じだと思うと同時に、今の子どもたちは色々と細かな制限の中で遊んでいるのだと改めて感じました。
遊びは、自由で目的が無いものかもしれませんが、身体能力を高めたり、ルールに従う集団生活を学んだりするなど、現代社会が求めているWell Being(精神的にも肉体的にも社会的にも満たされた状態)にもつながるものと考えます。地域には、遊ぶ場を提供いただいている団体もあります。
子どもの健やかな成長には、大人自身も遊びを通して童心に還るなど、ゆとりを持つことや、そうした心で子どもたちと関わる事の大切さを見つめ直す時間であったと思っています。
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