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町長の机から 第二六三回

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岐阜県川辺町

◆山川橋ものがたり
◇はじめに
山川橋(昭和12年・1937年完成)が令和3年9月、公益財団法人土木学会による「選奨土木遺産」に認定されました。土木遺産とは、歴史的に価値のある土木構造物の保存を目的として土木学会が平成12年(2000年)に設立した認定制度で、川辺町では初めての認定です。令和4年度までに国内で496ヵ所(岐阜県では12ヵ所)の土木構造物が認定されています。

◇山川橋ものがたり
その昔、飛騨川には橋がなく、旧川辺町と旧上米田村の往来は「椿渡し」と呼ばれた渡し船を利用していました。椿渡しは増水時に利用できないことや人数、重さに制限があり橋の建設が望まれていましたが、両町村とも橋をつくるためのお金がありませんでした。そのことを聞きつけた中川辺本町通りに肥料店を構えていた「山本鎌次郎(かまじろう)」さんが1万円(工事費の約1/3)の寄付を申し出たことにより、大正12年(1923年)、念願の吊り橋が完成したのです。橋は山本さんの「山」と飛騨川の「川」から「山川橋」と名付けられました。これが初代山川橋です。「なやみたる 椿渡しは昔にて 今はうれしき山川の橋」と歌が詠まれるほど町民らは大いに喜びました。また同時期に高山本線が開通したこともあって人や物の流通が盛んとなり、川辺町は大きく発展したといわれています。
その後、昭和12年(1937年)には川辺ダムの建設により初代山川橋が沈んでしまうことから、当時の東邦電力(現在の中部電力)が工事費11万円を寄付し、現在の二代目山川橋が架けられました。山本さんの寄付によってできた初代山川橋は撤去され、今では鳥居のような吊り橋の主塔だけが湖面から突き出ていますが、目の前の風景にはこんなものがたりがあったのです。

◇山川橋の紹介
年齢:令和5年度(2023年度)時点で86歳
規模:全長約197メートル、幅員5メートル、橋脚高(川底から道路までの高さ)最大約24メートル
構造:鉄筋コンクリート製(ラーメン形式ゲルバー橋)
延命のための措置:平成7年度に総重量6トン規制、平成21年度に大規模修繕(破損個所の修復、落橋防止新設(耐震性向上)、防護柵取替、幅員の拡幅、照明灯の新設等)
その他:大規模修繕のときに取り換えられた防護柵(欄干)の一部は、東光寺公園内のベンチとして利用されています。

川辺町長 佐藤光宏

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