◆川辺のオハツキイチョウ
中学校の恩師、栗山圀彦先生(川辺町元教育長)から、表題オハツキイチョウの貴重な資料をいただきました。頂戴した資料によると、オハツキイチョウはイチョウの変種で、葉の上に実を結ぶ、または葉上にヤク(草木のおしべの先端部にある、花粉をつつむ袋状のもの)を付けるイチョウのことをいい、全国に20本ほどの存在が知られています。また、イタリアの植物園にも、1本ですがオハツキイチョウの報告があります。生きている化石ともいわれ、地球上にたった一つの一族一種の貴重な植物でもあります。この、世にも稀なるオハツキイチョウが鹿塩の春日神社で発見されたのは、令和2年のことでした。全く知りませんでした。
令和2年10月30日の中日新聞によれば、発見したのは美濃加茂自然史研究会の新海秀和さん(当時43歳)で、葉にくっついたギンナンが木の下に落ちているのを見つけました。
県植物研究会によると、植物の実はもともと、葉が変化したものと考えられています。オハツキイチョウは2つのギンナンの片方が葉になっているものなどがあり、本来は実になる部分が葉に戻ったような状態と言えます。変異種とみられ、県内では瑞浪市の白山神社にもあるということです。新海さんは「見つけた時はびっくりした。中には国の天然記念物もある(山梨県身延町のオハツキイチョウは世界にも紹介され、国の天然記念物に指定されている)。川辺のイチョウも文化財級の価値があるかもしれない。」と話しています。
鹿塩、春日神社の大イチョウは大木で樹高は高く、幹周も太く、樹齢は相当古いものと思われます。秋になると黄色の葉っぱの絨毯が敷き詰められ、大きなギンナンの実をたくさん集めた記憶があります。おそらく、春日神社の御神木として大切に育てられてきたのでしょう。
川辺町にこんな素晴らしい、天然記念物にも匹敵する植物が住民を見守ってきたのか、と嬉しく思うと同時に、これからも大切に、大切に守り続けたいと思うのです。自然の恵みに感謝するとともに、この素晴らしい自然を保護し、後世までそのままの形で残したい、そしてまた、川辺の自然と戯れたいという感興をもよおすのです。
川辺町長 佐藤光宏
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