■地のものを守り、伝える ヘボの育成とヘボ料理を広める
「山のごちそうであるヘボの楽しみと味を伝えたい」と話すのは、へぼがーるずのリーダーを務める三宅正子さん。
木々が色付き始める10月下旬から11月、ヘボは採取の時期を迎える。ヘボとは、クロスズメバチの幼虫のことで、信州や東濃地方などの山間地域を中心に、貴重なタンパク源として昔から食べられてきた。砂糖や醤油で甘辛く煮付けた甘露煮や、甘露煮と米で炊き上げるへぼ飯、甘露煮をタレにすり込んで作る五平餅などのヘボ料理は、恵那の秋の味覚だ。
へぼがーるずは、串原の食文化を伝える団体が解散したことをきっかけに、2019年夏に串原在住の女性4人で結成された。メンバー全員が子育てと仕事を両立させながら、ヘボの保護や育成と、ヘボ料理のPR、Tシャツやステッカーなどのグッズ作成などでヘボ文化を広めている。
7月上旬、クロスズメバチの巣を探しに山に行き、持ち帰った巣に11月まで毎日エサを与え続ける。ヘボ追いから採取までは、先輩であるヘボ愛好会の手ほどきを受けながら活動する。そんな努力で採れたヘボは、料理にしてみのじのみのり祭や地域のイベントなどで振る舞う。「自分たちで育てたヘボの料理をおいしいと言ってもらえることがうれしい」と自慢の味に胸を張る。海外から昆虫食の研究家が訪れたり、取材に来たりなど、ヘボの活動を通して地域だけでなく世界ともつながっていることを実感する。
毎年11月3日には、ヘボの巣の重さを競う大会「くしはらヘボまつり」が開催される。全国各地からヘボ好きが集まる大会で、へぼがーるずは、この日限定でヘボ五平餅を作って提供する。
「小さな活動でも串原を盛り上げて、次世代にも活動をつなげられたら」と4人で力を合わせ、これからも活動は続く。
◆三宅正子(みやけしょうこ)さん(53歳)(串原木根)
▽プロフィル
へぼがーるずのリーダーで、3人の子どもを育てる母親。ヘボの甘露煮が一押しの食べ方。趣味は旅行。今は、串原のハム工房で豚の解体も学んでいる。
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