■おいしいを届けたい 仲間と一緒に続けられる農業を
今年もトマトがおいしい季節がやってきた。夫と「なかがき農園」を営む中垣野歩さんは、毎日トマトの栽培や配達に精を出している。中垣さんは広島県出身で、高校生の頃は食品加工の仕事に就きたいと考えていた。19歳の時、友人の紹介で串原の(株)山のハム工房ゴーバルで働き始めたことをきっかけに夫と出会い、結婚。なかがき農園を始めることになった。
なかがき農園では、夏はトマト、冬はイチゴの栽培を行い、完熟のおいしい状態で消費者に届けることにこだわっている。恵那市、中津川市を中心とした地元のスーパーマーケットの産直コーナーや、市内の直売所、飲食店などに出荷し、地産地消を図りながら「顔が見える販売」を心がけている。「自分の手でおいしいを届けたい」と、中垣さんは力強く話す。
農業に関わっていくうちに、中垣さんは一緒に働く同僚がいないことや、悩みや喜びなどを気軽に話せる人がいないこと、野菜をPRできるような場が少ないことに気づいた。農業者同士で情報や気持ちを共有できる場があるとよいのではと、令和2年、「831(やさい)企画」を立ち上げた。現在は10軒ほどの農家が参加し、互いに交流しながら、農園を見学したり手伝いをしたりして友好的な関係を築いている。参加農家からは、「お互いの話を聞き、情報交換ができて楽しい」「イベントなどに出展することで新たなつながりが生まれる」という声を聞く。中垣さんは「これからも831企画に参加する農家全員が居やすい環境づくりを心がけたい」と思いを深める。
なかがき農園では、農業体験の受け入れや、大人向けの農園開放などを考えている。「今後は雇用対策も行えるとよいと思う」と今後の展望を話す中垣さん。「仲間と共に頑張れる農業」を目指し、これからも楽しく農業と向き合っていく。
◆中垣野歩(のあ)さん(39歳)(串原柿畑)
□プロフィル
広島県出身。現在は、なかがき農園でのトマト・イチゴの栽培や、831企画の運営、たべとるマルシェ運営実行委員会会長と幅広く活躍。人との出会いを大切にしながら農業に関わっている。
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