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【Columnコラム】教科の学習と生活

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岐阜県笠松町

羽島郡二町教育委員会 教育長 野原弘康

ある算数のテストで、次のような答案用紙を目にしました。
「ゆきこさんの家から駅までは30分かかります。8時50分に駅につくには、ゆきこさんは家を何時何分に出るとよいですか。理由も書きましょう。」という問題に対し、A子さんは次のように解答していました。
答え:8時15分にでるとよい。
理由:8時20分だとギリギリで、あせると危ないから。
私はこの答案に、子どもらしい純粋さを感じ、思わず笑みを浮かべました。
きっとA子さんは、保護者や先生方から「時間を守ることは大切だよ。人との信頼にもつながるからね。」などと教えてもらっているのでしょう。この答案から、A子さんが日頃から5分前行動を大事にしていることが伝わってきました。
そうした微笑ましさの反面、担当の先生は採点に迷いが生じたと思います。A子さんがこの問題に正答する力があることは読み取れますが、テストとして厳密に採点すれば誤答とせざるを得ないでしょう。しかし、「算数の力」と「道徳性」を結び付けて解答したA子さんの人として評価は、花丸以上に匹敵するものだと思います。採点された先生も、形を変えてA子さんのよさを褒めていただいたと聞きました。

さて、子どもたちは日々教科の学習に励んでいます。学期末には評定された通知表を受け取ります。成績は、学習内容の達成度を示すひとつの尺度ですが、その学びが社会につながってこそ「本物の力」であると考えます。A子さんのように、「教科の力」を「生活」に生かす子どもが増えることを願っています。(但し、テストの場ではなく、日常においてということを付加しておきます。)
私たち大人は、そうした状況に出会ったときには、その値打ちを認めタイムリーに子どもたちに返してやりたいものです。

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