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声をカタチに 声を未来に 藤井浩人市長コラム

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岐阜県美濃加茂市

■偉人の胸中に思いを馳(は)せる
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」歴史的な名言ですが、以前にある市民の方からいただきました。今、見えていること、自分が経験したことだけではなく、過去を振り返り、物事の本質を見極め、時として同じ過ちは繰り返さないことは極めて重要です。それでは、私たちは地域の偉人から何を学び、何を生かすことができているでしょうか。
坪内逍遙(つぼうちしょうよう)博士のご功績は、今月号の特集に譲るとして、当時の時代背景や一つ一つの足跡をたどることで、改めて胸に迫るものがあります。「明治文学の最も偉大な開拓者」とされる逍遙博士ですが、現在「文学」は、小説や詩のような芸術の一種に捉えられがちですが、インターネットもテレビも無い当時、人々をつなぐものの多くは出版物や文字であり、文学が持つ役割は非常に大きかったのだと想像できます。そんな時代に、これまでの慣例を打ち破り、時に強い批判を受けながらも、自身の考えを世に示し続けたこと、それ自体が大きな功績だと思います。
更には、新たに日本の文学に、世の中の様子をありのままに描く「写実主義」を広く示したわけですが、世は明治維新の真っ只中。混沌(こんとん)とした社会で、その逍遙博士の姿勢は多くの国民、後に続く文学者たちにどのように映り、そして、逍遙博士の胸の内がいかなるものであったのでしょうか。
こうした思いを、残された多くの作品を通じて、私たちには触れる機会があります。それは何よりの財産であり、残された私たちの使命ではないかと思います。

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