■市の木・市の花・市の色
昭和49年に市制施行20周年を迎えた美濃加茂市。記念すべき年にあたり、躍進を続ける市にふさわしい新しいシンボルを定めようと、その年のはじめから「市の木」「市の花」「市の色」の制定に向けた動きがはじまります。
当時はようやく市が市としてまとまりを見せはじめ、市の予算は合併当時と比べ約10倍になり、教育文化の向上や道路交通網の整備、農林産業の振興をはじめ市政も着実な歩みをたどってきました。その力と伝統のもとで、新しいシンボルが「水と調和した」まちづくりをさらに推進していくための表象となることを期待しつつ、発展の傍らで失われゆく自然を守り「郷土を愛する市民の象徴」として永久に育てていこうという願いもありました。
選定を進める場となったのは、大学教授をはじめとした有識者や各種団体長など、市から委嘱された23人からなる「市の木等選定委員会」です。それぞれの専門員からなる3部門に分かれ、7月に初めて開かれた会合では、その方向性について話し合いがなされます。当初は委員会内で事前に候補を挙げる予定でしたが、それでは地域の思いが反映できないとの総意から、広く市民に意見を募ることとなりました。こうして募集された人々の声を参考として、時には市域の植生を実際に見て回りながら検討が重ねられます。当時の選定要領によると、「木」と「花」の選定にあたっては市内の山野に自生または栽培されている品種であり、何より市民に親しまれていることが基準とされたようです。最終的には市の木にムクノキ、花にアジサイ、色にコバルトブルーが選ばれ、鮮やかな青で彩られた答申書が市長に提出されました。
この三つの新シンボルは、11月10日に中濃体育館で開かれた市制20周年記念式典において正式に発表されます。会場にはこれに合わせて制作された、現在では馴染みある色の市旗が掲げられ、翌年には市内の小中学校や公共施設、公園にムクノキやアジサイの苗木が配布されました。
これらは、今も市を代表するシンボルとしてあり続けています。
◆[Pick Up]「選定の理由と応募はがき」
それぞれの選定理由としては、ムクノキは木曽川沿いを中心に市内に巨木が茂り、堂々とした見た目をしていること、アジサイは別名を「八仙花(はっせんか)」といい、市内8地区の団結を表すこと、コバルトブルーは木曽川の水を象徴し、青年都市としての若さとさわやかさを表すことなどが示されています。制定にあたって市民から集まったはがきは全73通。
そのほかの意見としては、市の木はイチョウや柿、花は梨やヒマワリ、色は緑や赤があり、そのどれもが市に対する思いであふれています。
※なお、県の天然記念物「川合のムクノキ」は、令和6年に、枯死により指定解除されています
問合せ:みのかも文化の森/美濃加茂市民ミュージアム
【電話】28-1110
<この記事についてアンケートにご協力ください。>