*力を合わせて心を一つに事をなす
■収穫の秋を終えて
今年は酷暑が続き、秋の深まりを感じる間もなく冬の訪れを感じております。主食であるお米の価格が上昇し、電気代やガソリン代の高騰と同様、生活必需品として家計に重くのしかかっています。
私は、市内の黒屋という農村地帯で暮らし、わずかながら自家用の米づくりと地酒「さんやほう」の酒米づくりに関わっています。今年の収穫量は、酷暑と害虫被害により激減し、次年度の米作りにも不安が残る状況です。農家として厳しい経営の実情を体感している一方で、我が家でも足りないお米を購入せざるを得ず、消費者として家計の厳しさも痛感しています。どちらの側面でも市としてできる施策を進めていく必要があると考えています。
私の住む集落を含め市役所北に広がる水田地帯を「吉田沖(きったおき)」といいます。ほ場整備が終了した頃の広さは約300ha(3平方キロメートル)といわれていましたが、今では市役所、病院、住宅などが建ち、面積はずいぶん減りました。
「吉田沖(きったおき)」は水田として維持されることによって米の生産のみならず、景観形成や地下水涵養(すいかんよう)と同時に、生命や財産を守る治水機能など多面的な役割を果たしています。お米を安価で購入できることは嬉しいですが、適正な価格で取引されることが、水田の維持に大きく貢献していることを理解いただけたらと思います。
市は、稲作をより低コストで持続するための一つとして稲作経営体の育成支援を行っています。高性能な農業機械は高価であるため、新規農業法人や集落営農組織の機械導入を支援するほかに、今年度から認定農業者であれば個人でも機械導入支援が受けられるよう制度化しました。少しでも生産コストを下げて農家の経営の安定を図ることで、大事な水田を維持し、関市産の美味しいお米が生産できるよう進めていきます。
この先も安心して暮らすことができ、水田の四季の変化を感じられる関市でありたいと思います。
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