家族の絆 愛の詩
~兄弟のつながりから生まれるあたたかさ~
■兄弟としてのつながり
この詩は、今年度養老町が募集した「家族の絆 愛の詩」の[小中学生の部]で岐阜県知事賞を受賞した、町内の小学校に通う3年生の川添蒼斗さんの作品です。この詩には、ありふれた日常の中にある兄弟の関わりが生き生きと表れています。
一つ屋根の下で生活していると些細なことでぶつかることもあるのではないでしょうか。蒼斗さんは兄として弟とじゃれあう中で、手加減することもあれば、ついつい本気になってしまうこともあったのでしょう。結果として弟が泣いてしまいます。ここで“兄”としての姿が現れます。「ないてうるさい」から「ゆずってやろう」と。兄として弟を思いやっての少しの我慢です。本当は、蒼斗さんもゆずりたくはないのかもしれません。しかし、兄弟だから弟のためにゆずるのです。
その後、何もなかったかのように蒼斗さんの背中に乗って弟は甘えてきます。「さっきのは何だったんだ。」と兄としての心の声が聞こえてきそうです。ですが、ここでも蒼斗さんは甘えてくる弟を受け入れています。少し重いけれど「おんなじおもさでぼくもすき」から、かけがえのない兄弟のつながりや兄として弟を愛おしく思う蒼斗さんのあたたかさを感じることができます。きっと、弟も蒼斗さんの優しさを感じ取っているので何事もなかったかのように甘えられるのでしょう。
また、この詩には書かれていませんが、この出来事を見守っている家族のあたたかい眼差しも感じることができます。家族として2人が怪我をしないように見守りながら、関わりの中で兄弟の成長を願われているのではないでしょうか。そして、そのような見守りがあるからこそ、「ライオン兄弟」という日常の関わりからあたたかな兄弟のつながりが感じられる詩ができあがったのだと思います。
最後は、「今日もガオガオ遊ぼうか」と締められています。腹の立つこともあるでしょう。少し我慢することもあるでしょう。さっきまで喧嘩をしていたのに何事もなかったかのように甘えてくることもあるでしょう。そんな、何気ない毎日の中で「遊ぼうか」と誘う蒼斗さんの弟への思いやりが余韻となって心に響いてきます。
■家族の絆 愛の詩を通して
家族は、人間が生まれ育つ最初の集団です。そして、自分以外の他者と出会う場です。今回紹介した詩には、蒼斗さんと弟の関わり、兄に甘えられる弟の姿など家族という集団の中で生まれるつながりがありありと表現されています。
家族の中で育まれた“あたたかいつながり”が人権意識の基盤となり、地域や社会に広がることで人権尊重の機運が高まっていきます。きっと、皆さまの日常にもこのような「家族の絆」が感じられる出来事があるのではないでしょうか。ぜひ、来年度も「家族の絆 愛の詩」の募集をひとつの機会とし、家族の絆が感じられる出来事を見つけてみませんか。
※作品は本紙またはPDF版をご覧下さい。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>