文字サイズ
自治体の皆さまへ

シリーズ人権 みんなで考えよう。人が人らしく生きるために…

35/56

岐阜県養老町

■子どもの居場所を“心のよりどころ”に
◇こども家庭庁発足から一年
こども家庭庁」は、2023年4月1日に発足しました。
こども家庭庁は、こどもがまんなかの社会を実現するためにこどもの視点に立って意見を聴き、こどもにとっていばんの利益を考え、こどもと家庭の、福祉や健康の向上を支援し、こどもの権利を守るためのこども政策に強力なリーダーシップをもって取り組みます」
この言葉を見ると、まさしく子どもが中心となった社会を実現するために、様々な政策支援が途切れることなく実施されていくことに期待感がもてそうです。
しかしこれは、裏を返すと、子どもを取り巻く様々な社会問題̶、少子高齢化子どもの貧困、いじめや虐待などが、想像以上に差し迫った課題であるということを私たちに伝えています。

◇こどもの居場所づくり
「こども家庭庁」が今推進しているのは、「こども・若者の視点に立った〝居場所づくり〞」です。
「こどもの居場所づくりに関する指針」は、令和5年12月22日に閣議決定されました。その「概要版」によると、「居場所がないことは孤独・孤立の問題と深く関係しており、こどもが生きていく上で居場所があることは不可欠」とあります。そして、基本的な視点として、「ふやす」「つなぐ」「みがく」「ふりかえる」の4つが挙げられており、責務・役割として「こどもの居場所づくりに関係する全ての者が、本指針で掲げるこどもの居場所づくりに関する理念等を共有するとともに、その重要性に対する関心と理解を深め、各々の役割を果たすことが必要である」とあります。
「こどもの居場所づくりに関係する者」と聞くと少し難しく感じる部分もありますが、子どもの居場所については、「こども・若者が過ごす時間・場所・人との関係性全てが、こども・若者にとっての居場所になり得る」と説明されています。そうすると、「こどもの居場所づくりに関係する全ての者」は、「こどもに関係する全ての者」と読み替えてもよさそうです。つまり、私たち大人、地域住民の皆さまは関係者(当事者)であり、積極的な役割が期待されているのです。

◇居場所を心のよりどころに
全ての子どもが、安全で安心して過ごせる多様な居場所をもつことは、とても大切なことです。ただ、私たちが間違えてはならないのは、物理的な〝場〞だけを用意すればよいというわけではないということです。もちろん、多くの居場所があれば、その場所が子どもにとっての居場所になる可能性は上がるかもしれません。しかし、いくら居場所があったとしても、その居場所が、子どもにとっての本当の意味での〝心のよりどころ〞にならなければ、それは、ただの〝場〞に過ぎないということです。様々な設備を備えた快適な〝場〞であれば、子どもも多く集まるかもしれませんが、それでは本来の目的を達成したとは到底言えません。
そうなると、やはり、大切にされるべきは、心のつながりだと思うのです。まず、私たち大人が、子どもを「一人の人間として尊重すること」です。子どもは大人の所有物ではなく、権利をもった主体です。子どもを尊重することは、子どもの気持ちだけではなく、存在を尊重するということになります。これはまさしく、子どもが安全で安心して過ごせる居場所づくりにつながります。
皆さまが日常の様々な「場」で、子どもたちに向けるあたたかい眼差し。そして、子どもたちの成長や気付きに感動することで生まれる、あたたかい声かけ。それら愛情ある関わりが子どもたちとのつながりをつくり、いつしか、心のつながりを生み、最終的に、心のよりどころへとなっていきます。この「場」は「機会」という意味で用いましたが、心のよりどころとなるような関係性があれば、物理的な〝場〞でなくても、立派な子どもの居場所と言えるのではないでしょうか。
これから、皆さまの地域でも子どもの居場所ができるかもしれません。そうしたときに、ぜひサポートしていただけたらと思います。
子どもたちとのあたたかい関わりが、皆さまにとっても心のよりどころとなったとしたら、これほどうれしいことはありません。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU