■星はすばる
平安時代、清少納言(せいしょうなごん)は「枕草子」の中で、「星はすばる」と書き、ひこぼし、宵の明星とともにすばるを称賛しました。「すばる」は「統すばる(集まって一つになる)」の意味とされるように、星の集まりで、肉眼では6~7個が見分けられますが、実際には数百個の星からなります。これらは、宇宙空間に浮かぶ、主に水素分子からなる雲の中にたくさんできた固まりが、収縮して星になったもので、すばるの星々はおおよそ1億年ほど前に生まれたと推定されています。
仲良く集まっているように見える星々ですが、谷村新司(たにむらしんじ)が「砕け散る定めの星たち」と歌ったように、2億5千万年後くらいには散り散りになるでしょう。私たちの太陽も、46億年前に生まれた頃は、すばるのような集団に属していたと考えられますが、今では離れ離れになって、昔の仲間がどこへ行ったか、ほとんどわかっていません。
すばるは1月上旬の夜8時~9時ごろなら、頭の真上近くに見えます。美星天文台の大型双眼鏡で見ると、星々がにぎやかに集まった光景に、思わず星はすばる!と叫びたくなるでしょう。
案内役:美星天文台長 綾仁一哉
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