市内には、激動の時代変遷の中で、さまざまな困難を乗り越えながら、長年にわたり家業の理念を堅実に守り、伝統の産業を継承してきた企業が数多くあります。市では、100年以上市内に主たる事務所を置き、市の経済発展に貢献している企業を老舗企業とし、「倉敷の老舗」として顕彰しています。
今年度は、大正11年以前に創業した4社へ、これまでの功績をたたえるとともに地域経済への貢献に感謝の意を込めて、感謝状を贈呈しました。
■創業大正4年(1915)高城染工場
所在地:児島下の町7-2-6
事業内容:染色業、婦人服製造
「深く美しい「青」を目指したいと語る4代目の角南浩彦さん」
学生服の糸染めや畳縁(べり)、地下足袋などの染色で初代・高城伊吉が創業。昭和には軍服、その後はブラックジーンズの染色を手掛けました。今では、徳島県の藍農家で藍染めを学んだ4代目・角南浩彦さんが手作業で藍染めを行っています。2015(平成27)年には、オリジナルブランド「blue in green」を設立し、化学的根拠に基づく安心な染料を調合した、角南さんの理想的な「青」を表現。工場併設の店舗にその天然素材の服が並び、使い込んだら染め直しをするなど、使い手に寄り添う対応も信頼を得ています。
■創業大正9年(1920)(有)マルナカ
所在地:児島赤崎4-4-9
事業内容:デニム織物製造業
「織機を操作する4代目の中村大成さん」
初代・中村若次郎が塩田業を営む実家から分家し、「(株)中村若商店」を創業して織物や学生服の製造を開始。その後、染色や縫製、帆布の製織にも事業を拡大しました。1978(昭和53)年ごろ、県内でもいち早くデニム製造を始め、これを主力に。現在、工場には新旧19台の織機が稼働。旧式のシャトル織機で織り上げるセルビッジデニムは、今も根強い人気で、4代目・大成さんは「古い織機の部品調達が難しくなってきたが、自社でメンテナンスを行いながら良いものを長く作り続けていきたい」と語ります。
■創業大正11年(1922)小林メガネand備中くらしき阿知てまり
所在地:阿知2-17-23
事業内容:眼鏡・手まりなどの販売
「笑顔で接客する2代目の小林ヤスヱさん」
初代・小林広一が雑貨の販売で「中屋号」を創業し、戦後に眼鏡の小売業に転換。2代目・ヤスヱさんは、視力測定やフィッティング調整、レンズ加工などの専門技術を、福山の眼鏡店で修業し、1962(昭和37)年に店を継承しました。「良く見えても掛け心地が悪ければ、毎日使うには適さない。それぞれが快適に過ごせる眼鏡を届けたい」と一人一人丁寧に対応しています。また、10年ほど前から手作りの手まりの販売も開始。優しい色合いに癒やされてほしいという温かい思いが込められています。
■創業大正11年(1922)インテリア岡田(有)
所在地:児島上の町1-9-57
事業内容:インテリア関連小売業
「カーテンのサンプルを手にする3代目の岡田壽太郎さん」
初代・岡田壽太郎(ひさたろう)が染色加工場として創業。戦時中は軍隊用のゲートルを、その後はヘルメットのあごひもなどの染色を手掛けました。昭和の半ばから、インテリア小売業を始め、現在はその専門店に。特にカーテンに力を入れ、店舗には縫製工場を併設。強度を持たせる縫い方や、つなぎ目を表に出さない工夫など、長く使えて心地よく過ごせるよう提案しています。職人が手掛けるきめ細やかな対応で、今後も期待に応えていきたいと3代目の壽太郎(じゅたろう)さんは語ります。
問合せ:本庁くらしき地域資源推進室
【電話】426-3406
<この記事についてアンケートにご協力ください。>