市内には、激動の時代変遷の中で、さまざまな困難を乗り越えながら、長年にわたり家業の理念を堅実に守り、伝統の産業を継承してきた企業が数多くあります。市では、100年以上市内に主たる事務所を置き、市の経済発展に貢献している企業を老舗企業とし、「倉敷の老舗」として顕彰しています。
今年度は、大正12年以前に創業した8社へ、これまでの功績をたたえるとともに地域経済への貢献に感謝の意を込めて、感謝状を贈呈しました。
■(有)下津井造船所
所在地:大畠2-6-19
創業年:1868(明治元)年
現在の事業:各種船舶・海洋構造物の修繕
下津井港に寄港していた北前船の修繕に始まり、主に木造漁船の建造・修繕をする「柏山造船所」を創業。その後、新たに鉄鋼船の修繕を始めました。現在修繕する船舶は、観光船からバンカー船など多岐にわたり、浮き桟橋などの海洋構造物の修繕も行っています。十数年前から個人のレジャー用船舶の修繕・メンテナンスも開始。現在代表を務める中奥光夫さんは、長年の経験と「まじめにコツコツ」の精神で、社を率いています。
■(有)ヒルトップ
所在地:中央1-10-11(事務所)
創業年:1910(明治43)年
現在の事業:不動産賃貸
初代・上岡嘉七が「上岡石炭商店」を創業して石炭の卸・小売りを開始。その後、山陽新幹線の岡山駅延伸に伴う観光ブーム到来に合わせて石炭置き場を貸駐車場に転用。平成5年には、その場所に現在の倉敷美観地区の倉敷デニムストリートとなる建物を造り、企業への不動産賃貸業に業種転換しました。同建物のトイレを無料で開放するなど、4代目・修作さんは、事業を通して地域の観光をサポートしています。
■(有)マルイケ
所在地:船穂町船穂5039
創業年:1916(大正5)年
現在の事業:みそ・醤油製造
初代・兼信泰次郎が「兼信味噌(みそ)醤油醸造工場」を創業。家屋と醸造場が丸い池のほとりにあり、それが屋号の由来となりました。現在も同じ場所で製造を続け、変わらぬ手作りの味を届けています。主力商品の「いなか味噌」は、今では少なくなった室(むろ)で作る米麹(こうじ)を使用しており、甘さがあって老若男女を問わず評判。4代目・史宏さんは、米麹と創業以来使い続けている蔵の独自の酵母により自慢の味を作り出しています。
■(有)佐藤製麺所
所在地:川西町7-22
創業年:1921(大正10)年
現在の事業:製麺業
初代・佐藤小梅が「佐藤製麺所」を創業。飲食店や水島地区の工場給食へ、うどんや焼きそばなどのゆで麺やゆでそば、生ラーメンを販売してきました。1968(昭和43)年には学校給食の指定を受け、現在もソフト麺などを市内の小・中学校に提供し続けています。地元のスーパーや小売店などにも納品しており、お客さんに喜んでもらうため、3代目・省吾さんや息子の文雄さん・修二さんを中心に、誠心誠意心を込めて製造を続けています。
■カモ井加工紙(株)
所在地:片島町236
創業年:1923(大正12)年
現在の事業:各種粘着テープ、捕虫製品製造
初代・鴨井利郎が「カモ井のハイトリ紙製造所」を創業し国産のハエ取り紙の製造を開始。その後、新たな顧客ニーズを捉え、粘着テープの製造に着手。現在は工業用テープを主力としており、粘着テープ、捕虫製品の市場は国内外に広がっています。近年では、文具・雑貨用マスキングテープの「mt」が大ヒット。創業以来の「粘着」の技術を核として、4代目・尚志さんを先頭に、今までの発想にとらわれない、社会に役立つ製品を送り出しています。
■(有)食器のみつはた
所在地:阿知2-6-26
創業年:1923(大正12)年
現在の事業:食器販売
初代・光畑太郎が「カネタ陶器店」を創業して陶器の小売りを開始。以来、陶器の販売一筋。強みは壁を埋め尽くすほどの商品の多さで、店内には和洋の食器、花器などが所狭しと並んでいます。3代目・芳浩さんは、インターネット販売を開始するなど、時代に応じて新しいものを取り入れるため日々の勉強は欠かしません。創業以来「生真面目すぎるくらいの商売」を心掛け、歩みを進めています。
■つちや産業(株)
所在地:児島味野6-9-2
創業年:1923(大正12)年
現在の事業:ドライバーズユニホームなどの被服製造業
初代・永山久吉が「千里足袋(株)」を創業して足袋製造を開始。その後、学生服の製造にも事業を拡大しました。現在はユニホームなどの被服製造業を主力としています。制服は長く供給しなければならないため、同じ素材・色の安定した品質の商品を提供しています。昨年10月からは、幅広い体型に対応した新ブランド「Gorilla(ゴリラ)Suit(スーツ)」の販売も始めました。4代目・司さんが社を率い、多くの人にとって着心地の良い製品づくりを進めています。
■(有)佐藤建具
所在地:茶屋町163
創業年:1923(大正12)年
現在の事業:建具・家具の製造、取り付け
初代・佐藤猪都二が「佐藤建具店」を創業して建具の製造を開始。茶屋町小学校の前身の茶屋町国民学校の建具も手掛けました。現在は住宅や店舗の幅広い要望に応じて、伝統的な組子建具の他、モダンな建具・家具など多様な製品を作っています。「建具は、デザインや素材・色などにより住空間の表情をがらりと変えるもの」と語る3代目・雅弘さん。創業から一貫した「お客さまに喜んでいただけるものづくり」の実績が、現在につながっています。
問合せ:本庁くらしき地域資源推進室
【電話】426-3406
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