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吉備中央町文化財探訪記(31)

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岡山県吉備中央町

~町内にある文化財を探訪してみよう~

【山号額(さんごうがく)「具足山(ぐそくざん)」(山田方谷揮毫(やまだほうこくきごう)】
町指定重要文化財(歴史資料)

■解説
額面は縦50.5cm、横143.0cmの一枚板で拭き漆仕上げとし、文字は白、印章は朱の彩色を施しています。額の裏面は「當山号奉額納之山田安五郎先生書之大工當邑住岡藤吉怍彫工吉田齋三良慶応四年辰卯月八日縣之」とあります。山田安五郎とは、備中松山藩(現在の高梁市)で幕末期に藩政改革等を実施した山田方谷のことなので、方谷の揮毫(きごう)によるものであることが分かります。
方谷の書作品は多く伝えられていますが、この扁額(へんがく)に揮毫したような整った楷書(かいしょ)の大字は珍しく、制作年も明らかであり、方谷研究の資料として貴重なものとなっています。

■吉備中央町文化財保護委員からのワンポイントアドバイス
〔安達 輝政(あだち てるまさ)委員〕
大和村誌には「今妙本寺(みょうほんじ)の仁王門(におうもん)に掲げてある『具足山』と書いた額は、妙本寺へ出張した山田方谷の揮毫である」と記しています。慶応2年(1866年)に、長州の第二奇兵隊の脱走兵約100人が倉敷代官所を襲撃(しゅうげき)する事件がありました。一隊が次には「槙谷から野山を経て伯耆を目指す」との情報が入ったため、方谷は妙本寺に本陣を置き、第一線から第四線にわたって陣を構えていたということです。
この時に行った出張が、方谷と妙本寺との直接の縁となった出来事かと思われます。

お問い合わせ先:教育委員会事務局 生涯学習班
【電話】0866-56-9191

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