■[特別コラム]理学療法士に聞きました! その(1)筋力と転倒について
10月号では、奈義町の後期高齢者医療制度(75歳以上の町民)で、最も医療費が掛かっている疾患が「骨折」であることをお伝えしました。今回から、地域で活躍する理学療法士の安田翔太さんからのコラムをお届けいたします!
◇「転んだらおしまいだよ」そんな風に言われたことはありませんか?
一概に全員がそうとは言い切れませんが、これには以下のような理由があります。
・高齢者の介護が必要となる主な原因は、認知症、脳血管疾患(脳卒中)に続き、「転倒・骨折」は13.9%を占め1)るようになってきており、町でも転倒による骨折が原因で介護が必要な状態になってしまったリ、生活に何らかの支障がでたりと、日常生活や健康を脅かす重大な問題となっています。
◇転倒しやすくなる原因は?
・年齢を重ねると徐々に筋力やバランスなどの運動機能が低下し、転倒する危険性が高くなります。病気や薬の影響、運動不足などによる筋肉量の低下などが指摘されています。
・今年の総合けんしんで実施された「サルコペニアけんしん」は受けられましたか?サルコペニアとは『加齢などが原因で筋肉量が減少したり筋力が低下したりすること、筋肉減少症』を指します。
・サルコペニアの状態の方は、そうでない方に比べて2~3倍転倒する可能性が高くなると言われています2)。また、サルコペニア高齢者では筋量だけなく骨の強度も低下しているのではないかという指摘もあり3)、転倒してしまうことによって骨折に至ってしまうケースが増加しています。
「サルコペニア」は高齢の方がなる状態だと思われがちですが、実は40歳代頃から徐々に始まっている4)といわれており、若い方も同様に気を付けてていただきたいです。
「まだまだ若いよ」という方も、他人事だと思わず、早い段階から運動習慣をつけたり病気の予防に関心を持っていただきたいなと思います。
出典
1)「令和4年国民生活基礎調査(厚生労働省)」
2)Yamada M,et al.Prevalence of sarcopenia in community-dwelling Japanese older adults.J Am Med Dir Assoc.14(12);911-915,2013.
3)Go SW,et al.Association between Sarcopenia,Bone Density,and Health-Related Quality of Life in Korean Men.Korean J Fam Med.34(4);281 288,2013.
4)Yamada M,et al.Age-dependent changes in skeletal muscle mass and visceral fat area in Japanese adults from 40-79 years of age.Geriatr Gerontol Int 14 Suppl 1;8-14,2014
問合せ:奈義町栄養委員会事務局
【電話】36-6700
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