◆骨粗鬆症(こつそしょうしょう)と歯科治療
岡山市内歯科医師会連合会
かかりつけ医の先生から「骨粗鬆症の薬を新しく飲んでもらおうと思うので、飲み始める前に一度、歯科で検診を受けてください」と言われた経験はありませんか?骨粗鬆症と歯科、一見あまり関連がなさそうですが、なぜなのでしょう?
現在、日本では主に、骨粗鬆症の治療薬として、ビスフォスフォネート製剤やデノスマブといった骨(こつ)吸収抑制薬が使用されています。これらの薬をある一定期間以上服用している方が、歯周病、歯の神経や骨までに及ぶ深い虫歯などの炎症性歯科疾患を抱え、抜歯などの侵襲的歯科処置を受けた場合、歯を支えている顎の骨がなかなか治癒しない、骨が腐ってしまう(薬剤関連顎骨壊死(がっこつえし)、以下MRONJ(ムロンジェイ))といった事が起こり得るからです。非常に稀なケースではありますが、一度MRONJに罹患してしまうと、なかなか治癒しにくく、予後不良の難治性疾患です。
そうならないためにも、骨吸収抑制剤を開始する前に、一度ご自身の口腔内を歯科医院でしっかり精査してもらい、必要な治療があれば薬剤開始前に歯科治療を済ませておくことが重要だといえます。また、既に骨吸収抑制剤を服用されている方で、長期間歯科を受診されていない方も、MRONJ(ムロンジェイ)発症リスクを少しでも軽減させるために、一度ご自身の口の中の状態を歯科医院で精査してもらってみてはいかがでしょうか。
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