◆ヘルニアについて
岡山市医師会
ヘルニアとは、臓器が本来あるべき位置からずれて脱出した状態をいいます。古代エジプトの壁画にも描かれており、昔から認識されていた疾患で椎間板(ついかんばん)ヘルニア、食道裂孔(しょくどうれっこう)ヘルニア、鼠径(そけい)ヘルニア、腹壁瘢痕(ふくへきはんこん)ヘルニア、大腿(だいたい)ヘルニアなどの名称は、皆さんも聞き覚えのある疾患名だと思います。脱出した臓器が体表面より確認できるものを外ヘルニアと言い、鼠径ヘルニア、腹壁瘢痕ヘルニアなどがこれに当たります。一方、脱出先が体腔内で体表面からは確認できないものを内ヘルニアと言い、食道裂孔ヘルニアなどがこれに該当します。今回は、体表面から確認でき、皆さんがご自分でも見つけることができる外ヘルニアについてお話します。中でも一番多いのが鼠径ヘルニアで、腹部ヘルニア手術の約85%を占めます。治療の基本は手術で、その目的はQOLの改善(痛み・違和感の解消、見た目の改善、不安感の除去)と緊急手術の回避と言えます。脱出したまま戻らなくなったり、脱出した腸管に血流障害を伴ったりした場合には、腸切除を伴う緊急手術が必要になることもあり、リスクが高くなります。近年は、手術方法も大きく変化し、日帰り手術や局所麻酔による手術など、皆さんのライフスタイルや全身状態を考慮した手術方法の選択も可能です。ご自分で体表面をチェックし、ヘルニアが疑われたら、早めに医療機関で相談してください。
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