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津山の歴史 あ・ら・か・る・と

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岡山県津山市

■天使の埴輪(はにわ)?
弥生の里文化財センター内で「天使ちゃん」とあだ名がついているこの埴輪((1))は、日上畝山(ひかみうねやま)古墳群(日上)から出土した人物埴輪です。なぜ天使ちゃんなのかというと、背中に天使の羽のように見える飾りが付いているからです。
人物埴輪は、盾(たて)を持った人や楽器を弾く人など、何かの役割を持っている人を表現しています。天使ちゃんは、どんな役割の人なのでしょうか。
頭部を観察すると、耳以外に粘土を貼り付けた痕跡がないので、男性の髪型である美み豆ず良らではないことが分かります。首には丸めた粘土で首飾りが表現されています((2))。両腕を前に出し、先端がへこんでいるので、手に何かを持っていたことが分かります。両手で何かを捧ささげ持つ姿です。羽については、天使ちゃんの横に展示している人物埴輪((3))にヒントがあります。
この人物埴輪も日上畝山古墳群から出土しました。天使ちゃんとの大きな違いは、平行四辺形の衣装を着けていることです。これは意須比(おすい)という巫女(みこ)の衣装です。
古墳時代の巫女は、島田髷(しまだまげ)のように髪を大きく前後に結い、頭頂部で束ね、首飾りを付け、意須比をまとい、その上にタスキをかけて胴のあたりに細い帯をゆったりとまわして正面で結んでいました。埴輪では、壺などを捧げ持つ姿か、胸の前で両手を合わせる姿をしています。
したがって(3)の人物埴輪は、帯とタスキが省略された巫女であることが分かります。また、日上畝山古墳群では、服装が簡略化された埴輪が他にも見つかっています。
これらのヒントから、天使ちゃんの羽は簡略化された意須比と考えられます。頭上の輪の部分には髷が差し込まれていたのでしょう。つまり天使ちゃんは、天使ではなく、何かを捧げ持つ巫女の埴輪であるということが分かります。
埴輪は展示ケースの外に展示しているので、近くから観察してみてください。
※詳しくは本紙またはPDF版をご覧ください。

問合せ:津山弥生の里文化財センター(沼)
【電話】24-8413

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