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2024新春座談会 津山まちじゅう博物館構想~歴史を未来につなぎ、新たな魅力創造へ~(1)

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岡山県津山市

まちじゅう博物館構想とは、まち全体を屋根のない博物館と捉え、市内に点在する歴史、文化、自然、伝統、芸術などをつなぎ合わせ、新しい魅力を創造していく未来のまちづくりを目指すものです。
構想の策定や、実際の取り組みに携わっている5人と市長が、構想を通じたまちづくりについて語り合いました。

早田宰さん…津山市みらい戦略ディレクター(前列中左)
須江庸司さん…市民懇談会参加者(後列右)
垂井美由紀さん…市民懇談会参加者(前列左)
土山浩司さん…*コンソーシアムマネジャー(前列中右)
春名久美子さん…コンソーシアムマネジャー(前列右)
*コンソーシアム:構想の実現に向け、関係団体などと協力し合って進めていく共同体
※写真は本紙をご確認ください。

■津山を未来に引き継ぐ
市長:津山は、独特の歴史や文化、自然に彩られたすばらしいまちです。市内に点在する津山らしさを、住民と行政が一体となってつなぎ合わせ、新たな魅力を創造することが、まちの未来には必要と考え、構想を策定しました。現在、構想の具体的な取り組みを進めています。皆さんが構想に携わって感じたことなどを教えてください。
※「共通するテーマで城東、城西、城下などのエリアに分け、まち全体を一つの博物館と捉える例」については本紙をご確認ください。

◇津山の魅力が結集
早田:まちじゅう博物館構想は、住民の皆さんが主体となって、さまざまな視点から、地域の大事なものを見付け、守っていく「エコミュージアム」という考えを取り入れたものです。
1960年代にフランスで提唱され、日本ではあまり例がありません。市内に点在する魅力が、点から線になり、面になる、津山の底力が結集するすばらしい取り組みだと思います。

◇「津山」という単位で発信
須江:構想の策定に向け、自由な意見を出し合う市民懇談会には、性別や年代、経験の違う人が集まりました。津山の魅力は何かを、自分自身で改めて考え、他の参加者と楽しく共有できた貴重な機会でした。まちづくりが楽しいものだという輪が広がると、より良いまちになっていくと思います。市内のさまざまな地域の人と協力し合い、「津山」という単位で魅力を発信していきたいです。

◇楽しく、面白い取り組みに
垂井:市民懇談会では、津山の魅力や、その活(い)かし方などについて、グループに分かれ、話し合いと発表を繰り返しました。自分が知らなかった地域の魅力を知り、今後、構想の下でどのようにつながっていくか想像すると、わくわくした気持ちになります。たくさんの人に興味を持ってもらうためにも、取り組みが「楽しい」「かっこいい」「面白い」ものになってほしいです。

◇歴史や文化を未来につなぐ
土山:わたしは、令和2年から3年間、地域おこし協力隊として城東地区を拠点に活動し、現在も津山の洋学・蘭学を広める活動に取り組んでいます。津山には、箕作阮甫(みつくりげんぽ)を筆頭に、宇田川家3代など、すばらしい人物を輩出した歴史があります。まず住民の皆さんがこれを知り、後世につなぐことが一番大切だと思い、活動していました。そんな中で始まったまちじゅう博物館構想の内容に共感し、参加しました。

◇挑戦を妨げない
春名:市外出身のわたしは、市民懇談会に参加したことで、たくさんの津山の魅力を知ることができました。何気ない日常の中には、たくさんの学びや発見があり、何かやりたいと思った時に、挑戦を妨げない環境づくりが大事だと思います。みんなで考えを出し合い、混ぜることで生まれる化学反応を楽しめる構想にしていきたいです。

■構想実現のために
市長:構想を形にしていくために、解決すべき課題は何でしょう。

◇若い力を活用
垂井:若い世代は、わたしたちが思い付かない視点や、忘れてしまっていることを拾い上げる力を持っています。津山をどう思っているか、どんなまちになってほしいかなど、実際の声を聞いてみたいです。その上で、若い世代が自分のまちに興味を持ち、未来のまちづくりに積極的に参加してくれるような環境づくりが必要と考えます。

◇興味を持つ人材を
土山:少子高齢化などの人口減少で、地域の伝統行事の祭りなどが存続の危機に直面しています。神輿を担ぐ人や、だんじりを引く人も減っていて、今まで開催できていたから、今後もできるだろうという考えが通用しなくなってきています。伝統行事を含む、地域で行われているいろいろなことに興味を持ち、積極的に動いてくれる人材を増やすことが課題だと思います。

◇まちが変わっていく姿を発信
春名:津山にはたくさんの良い素材があります。素材自体の見せ方や、歴史や地域との関わりなどのストーリーを編集して形にし、その情報を発信していくことが必要だと思います。
構想が形になっていく過程で、津山が変わっていく様子や、未来に向けた可能性なども、住民の皆さんに伝えていきたいです。また、人口減少などの課題も見方を変えれば転換点だと感じられる意識を、子どもから大人まで育むことが大切だと思っています。

◇まち全体の意識の底上げ
須江:さまざまな地域の魅力を結集し、発信するためには、住民やいろいろな団体の協力が必要になると思います。「津山をこうしていくんだ」という、より強い目的意識の統一が大切です。
まずは、それぞれが自分たちのまちに興味を持ち、まちを知り、好きになって、次の世代の子どもたちや、観光客にも「津山ってこんなすばらしいところがあるんで」と、胸を張って言えるような意識づくりが必要だと思います。

◇より分かりやすく伝える
早田:取り組みの具体的な内容を「分かりやすく」伝えることは課題だと思います。特に次の世代を担う子どもたちに興味を持ってもらうことが重要です。
分かりやすく伝えることで、興味を持ち、体験する。「楽しい」「学べる」「もうかる」など感じる場を作ることができれば、自然に人は集まってくると思います。

■構想を実現するための4つの柱
◇意識づくり
・地域の魅力などの調査発掘
・市民懇談会の開催
など

◇土台づくり
・重伝建地区の景観整備
・主要施設の案内用ピクトグラム(図記号)制作
など

◇人づくり
・「津山郷土学」の推進
・地域の担い手、若手事業者の育成
など

◇施策づくり
・城泊など歴史遺産の積極的な活用
・大学生、高校生などとの連携
など

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