平成17年2月28日、津山市・加茂町・阿波村・勝北町・久米町の5つのまちが一つになり、新たな津山市として歩み始めました。
合併から20年を迎えるにあたり、連合町内会会長、各地域の中山間地域懇談会長の皆さんと市長が、これまでを振り返り、未来の津山について語り合いました。
岸本常義さん 連合町内会会長
大塚邦久さん 中山間地域懇談会長(加茂地域)
小椋道典さん 中山間地域懇談会長(阿波地域)
上高進さん 中山間地域懇談会長(勝北地域)
山田誠さん 中山間地域懇談会長(久米地域)
■ともに歩んだ20年
市長:平成17年2月28日に一市三町一村で合併し、20年が経とうとしています。まずは、皆さんそれぞれの立場から20年を振り返って、新たに生まれたモノ、コト、人との絆や、見えてきた課題などをお話しください。
大塚:合併について協議していた当時の津山市は、財政面をはじめ、下水道の整備、住民福祉の問題など、すべてが順調という状況ではありませんでした。そんな中での合併。それぞれの地域で育まれてきた考え方がある中で、その違いをお互いに受け入れながら良いものを取り入れ、一つのまちとして、住んでいる人が満足するまちづくりを進めていくことが大事だとずっと考えてきました。
人口が減少していく将来を見据え、公共施設もある程度絞りながら、今ある施設を有効的に使うことが求められるのではないでしょうか。久米総合文化運動公園市民プールレインボーを「津山のプール」として整備を進めているのは合理的だと思っています。
上高:当時、わたしは塩手荘の施設長をしていました。昔から勝北地域では「ひとり一文化一スポーツ」の推進や、塩手池からウッドパーク声ヶ乢(こえがたわ)を通って渓谷津川ダムへと続く自然豊かな「歴史ロマン街道」のPRなど、地域一丸となってまちの魅力づくりに力を入れていました。合併して20年が経ち、人の流れや社会の情勢が変わる中で、地域が一体となって取り組もうという気持ちのつながりが薄れてしまった印象があります。地域の大切な伝統は残しつつも、もっと、人と人の心をつなぐ、大きなイベントなどを新たに作っていくことが必要ではないでしょうか。
まちの中心部に目を移すと、今津屋橋から津山城(鶴山公園)にかけて、空き家やシャッターの下りた店が目立ちます。ごんご通りのカッパの銅像を生かすなど、新しいアイデアで地域を活性化できないかと思います。
山田:久米地域は、平成6年に「くめ産業団地」、平成12年に道の駅「久米の里」が完成するなど、人や産業の集積に向けて積極的に取り組んできました。地域のにぎわいにつながったこれらの経験を踏まえ、合併後も、前を向いてやっていこうという強い思いがありました。当時、懸案だった「津山圏域クリーンセンター」の設置も、まちの発展を考える地域の人の前向きな気持ちがあったからです。
久米には豊かな田畑と山林という資源があります。これらを生かすため、地域商社曲辰(かねたつ)と協力し、都市部での農産物の販売に力を入れて頑張っています。産業団地の企業をはじめ、地域のさまざまな企業が持つノウハウと、地域をつなぎ、さらにその輪を広げていくなど、今後も前向きに取り組んでいきたいと思っています。
小椋:合併当初、わたしは一住民でした。阿波地域では、住民自身が主体となり、地域の将来を見据え、他の地域に先んじてまちづくり協議会を作り、地域の活性化に向けてずっと検討してきました。合併後、役場が支所に、支所が出張所に規模が縮小。阿波小学校が加茂小学校に統合、住民の生活基盤だった唯一のガソリンスタンドが撤退しました。住民の意見を聞きながら、地域の未来に向け考え抜いて出した結論が、地域住民で出資し、合同会社「あば村」を設立することでした。「あば村」では、ガソリンスタンドを存続させ、阿波で1軒しかないコンビニ形式の商店も運営しています。廃校となった小学校の跡には、食品加工施設を作りました。商品の加工を一生懸命研究し、やっと販売できるようになってきました。
そのほか、阿波の自然を生かしたグランピング施設「ザランタンあば村」、「あば温泉」、合宿などもできる施設に生まれ変わった「あば交流館」など、観光の面でも住民が一体となって盛り上げ、地域を活性化していきたいと思っています。
岸本:合併したことに否定的な意見は、もちろん聞きます。一方で合併したことでつながりができ、人との交流が前より深くなったのも確かだと思います。わたしは、「加茂の○○」「勝北の○○」という表現を聞くと、津山市とは別の場所として線を引かれている感覚がして、少し寂しく感じます。加茂も阿波も勝北も久米も、一つの津山市として、みんな一緒にやっていきたいという思いがあります。
津山市が合併して良かったと思ってもらえるように、今後も気持ちを一つに取り組んでいきたいです。
市長:さまざまな課題がある中、わたしを含め、皆さんに共通するのは「地域を活性化したい」という思いです。20年を迎え、地域の特色を生かしながら、未来のまちづくりに向けて気持ちを一つに取り組んでいくことが、今後ますます重要になると思っています。
◆合併後20年の歩み
○津山市全体
・戸島・草加部食育センター整備
・小中学校の耐震・空調整備
・幼稚園再構築施設整備
・津山駅周辺整備
・津山文化センター施設整備
・市庁舎耐震改修等事業
・公民館整備
・リージョンセンター施設整備
・ときわ園整備
・スポーツセンター野球場・サッカー場整備事業 など
<この記事についてアンケートにご協力ください。>