津山の人・物・技術など、明日誰かに自慢したくなる津山のいいところを紹介します
■第12回プラチナ大賞 大賞・総務大臣賞受賞 株式会社フランウッド(津山口)
受賞した取り組み名称:森林基幹道とフランウッドによるProfitable and Sustainableな森林業-森林基幹道というインフラ投資とフランウッド(木材高付加価値化技術)と森林経営管理責任を持つ地方自治体と共同の取り組み-
市と共同で行う、持続可能な森林経営を目指す取り組みが、新産業の創出やアイデアあふれる方策などにより社会や地域の課題を解決する活動をたたえる「第12回プラチナ大賞」で大賞・総務大臣賞を受賞。代表取締役社長の髙橋ひかりさんに話を聞きました。
◇フランウッドが生まれたきっかけ
アマゾンの熱帯原生林に生息する広葉樹は、硬く丈夫で、虫害や腐食にも強いので、高耐久ハードウッドとして、高級なウッドデッキの床材などによく使われてきました。世界からその性能と美しさを求められ、伐採され続けてきた結果、現在では、枯渇の危機にあります。
一方、ソフトウッドとも呼ばれる針葉樹は、柔らかく傷付きやすい木材で、成長が早いのが特徴です。日本国土の約7割を占める森林で、生産量1位・2位は針葉樹のスギ・ヒノキ。なかでもヒノキは、岡山県が全国有数の生産量を誇ります。
現在、丈夫で安い輸入材が日本の市場を占め、国産材は苦しい状況に追い込まれています。樹木を育てるための間伐作業や、伐採、搬出に掛かる費用など、採算が取れず、木材業界では倒産が相次ぎ、日本の林業は衰退に向かっています。そんな危機的状況を打破するために、考え抜き、試行錯誤を重ねて生まれたのが「フランウッド」です。
◇硬く丈夫なフランウッド
フランウッドとは、簡単に言うと、国産のスギ・ヒノキをハードウッドに改質したものです。100%植物由来のフラン水を染み込ませ、硬化させる化学的な処理で、フランウッド社が、京都府立大学と共同開発した特許技術です。この処理によって、腐りにくく、ささくれず、寸法が安定し、硬く、表面劣化が抑えられた木材へと生まれ変わります。ウッドデッキとしては30年以上、外壁では50年以上利用でき、塗装やメンテナンスの必要がないのも魅力の一つです。
◇儲かる、持続可能な林業へ
苦しい状況の国産材に新たな価値を加え、高値で取り引きされるようになることで、森を守る費用に還元することができます。永久的に森林を守るための基幹道を整備し、適切な間伐を行うことで素材を生産しながら、同時に、森に光を呼び込み、さまざまな生物が育まれる環境を再生します。
今回評価された取り組みは、環境的にも経済的にも持続可能な森林経営の仕組みです。利益を安定して得ることで、日本の林業を守りつつ、森やそこに住む生物などの美しい自然を守るサイクルを作り、持続可能な林業の実現につなげていきたいです。
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