■今月のテーマ 地域おこし協力隊ってどうなっとん?2
▽はじめに
11月号から今月号にかけて村で活動する地域おこし協力隊を紹介しています。11月号では、協力隊とは何なのか、そしてどのような活動を行っているのかを紹介しました。協力隊は任期中に与えられた任務の他にもさまざまな活動を行い、村にさまざまな効果を加えてくれています。
今月号では、(一財)むらまるごと研究所で協力隊として活動しているかたわらら一級建築士として地域のコミュニティや場づくりに関する取り組みを精力的に企画・実施している秋山淳(あきやまあつし)さんにインタビューを行い、村内での活動やその想いをうかがいました。
▽むらまるごと研究所での活動~分野をこえて地域を知る~
秋山さんはこれまでむらまるごと研究所で、この村の住民がより豊かに暮らしていくには何が必要か、という問いを念頭にその実現のために企業や研究機関と連携した地域課題解決、研究開発・実証をおこなっています。また関係人口やテクノロジーとこの村をつなぐことを目的に活動拠点「むlabo(ラボ)」の運営もおこなっています。
秋山さんがむらまる研で活動する際に大切にされているのが(1)地域の情報・資源を記録・可視化し村の個性を未来に残すこと、(2)必要な仕組みを新しく生み出すことです。(1)では例えば、古い写真や屋号・小字の情報、この村の生物に関する情報を記録していく活動に取り組み、(2)では建築士として空き家流通・対策に向けた研究や地域内での資源循環に関する企画に取り組んでいます。
今回の特集では、そんな秋山さんがむらまる研での活動を超えて「地域コミュニティ」や「居場所づくり」を重要視して取り組まれた活動として、今秋、森の中で行われた芸術イベント「森々燦々(しんしんさんさん)」や社会福祉協議会が運営する「よりみち」の改修プロジェクトについて紹介します。
▽「森々燦々」~森の中に人の居場所をつくる~
「森々燦々(しんしんさんさん)」は10月12日(土)~11月10日(日)にかけて、西粟倉の森林を舞台に初めて開催された芸術展示やワークショップのイベントです。秋山さんは発案者かつ実行委員長としてこのプロジェクトを実施されました。
▽地域でのつながりが新しいアイデアに
―協力隊として西粟倉で5年間活動する中で、さまざまな分野の方々と、そしてたくさんの村の方々とお話しする機会を頂き、多くの学びをいただきました。その結果として、むらまる研の活動だけでなく、ここに生きる一村民として、「こういうものがあったらより村が楽しくなるのではないだろうか」「これならできそう」というアイデアがうまれてくるようになりました。
村の中でも芸術や文化に触れることができたり、自分の頭の中にあるアイデアや考えを自由に表現する場が誰にでも与えられている、そんな場があればと思い企画しました。普段人が足を運ぶこともないような実際の森林を舞台にすることで、森での体験がいつか一人ひとりの心の豊かさにつながるような、そんな風土が生まれるはじめの一歩になれば良いなと思い、この村が大切にしてきた森に焦点をあてたイベントとなったんです。
▽「セカイ」の見え方を共有する時間を設計する
―実施に向けて実行委員やボランティアの方々と共に大切に掲げていたコンセプトが「セカイの見え方を共有する」というものでした。実行委員のみんなで考えたものです。これは、一人ひとりが見ているセカイは異なっていて当然だということを受け入れ、その上でその違いを互いに知ることで新しい発見や興味につながり、そのことがいずれそれぞれにとって森や村や施設、取り組みなどこの地域の新しい楽しみ方につながればいいなという願いを込めてこのコンセプトとしました。イベント日当日は世代や性別を問わず、村内外合わせて200名を超えるたくさんの方々にご参加いただきうれしかったです。本当にありがとうございました。
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