■村長所信
令和六年元旦。思いもよらない日に起きた能登半島を中心とする大地震でした。改めて地震大国と呼ばれる日本の日常に潜む大きなリスクを思い知らされた感じがします。その被害の大きさ、避けようのないリスクを村に当てはめてみた時、この過酷な惨状を避けることが出来るだろうかと心配になります。しかし、現在まだその惨状に立ち向かわれている被災者の皆様、また復旧復興に心血を注がれていらっしゃる方々の傍観者でいてはいけない、何らかの方法で支える力として寄り添わなければならない。明日への希望をどうか見いだしていただきたい、そう祈るところであります。
さて、そういった不意のリスクへの対策を頭の隅に置きながらも、足下では人口減少をともなった地方の衰退が止まりません。本村にとっても人口減少の影響は日々増大しています。農林業を始め、観光、福祉、教育、暮らしなどすべての分野に人材不足の傾向がみられます。小規模であるがゆえに、労働人口の確保には特段の努力を重ねて参りましたが、それでもなお確たる将来の礎が固まったとは言えない状態です。こうしている間にも、地方の規模の縮小化は音もなく密かに、そして確実に進んでいます。「今は、明らかに非常事態である」との認識を持たなければならないと感じています。しかしまた、こういうときだからこそ、緊張感を持って村民皆様の暮らしに寄り添い、また求められる課題解決には、長期、中期、短期の視点で何を優先すべきか、取捨選択をしていく必要があります。「百年の森林に囲まれた上質な田舎」の実現という大きな目標を村民相互で共有し、「生きるを楽しむ」を実践しながら力強い足取りを将来に向けたいと考えています。
さて、本定例議会には令和六年度の一般会計予算三十九億九千三百万円をはじめ特別会計の七会計を含む総額四十七億六千六百万円の予算を上程しております。
脱炭素先行自治体として、小学校、いきいきふれあいセンター、構造改善センターの施設改修および整備。低炭素な村づくり補助事業の継続など各種の施策を複合的に行い、村内の資源を最大限に活かした脱炭素の取り組みを進めて参ります。
農業振興においては、担い手育成奨励補助金、農業経営支援事業、高騰する農業用機械等整備補助金の拡充。昨年八月に発生した台風の土砂災害による村道筏津知社線の災害復旧工事など。
教育関係では、教科書や保護者との連絡ツールとしてのデジタル化対応を進めると同時に学校力強化のための「指導主事」を導入し、より専門性の高い指導を充実して参ります。また、高騰する給食費については保護者の皆様にも一部のご負担をいただきながら、地域内食材の調達や食育にも配慮し、さらに質の向上に向けて取り組んで参ります。
そのほか、簡易水道、農業集落排水事業の公営企業会計化を導入し、収支状況の見える化を図ると共に生活インフラの継続、維持のための対策、検討を進めて参ります。
今年度はいよいよ。五月中旬に新宿泊施設が開業いたします。地方創生から続く、村の特徴的な取り組みを継続しながら、地方創生モデルとして西粟倉村にお泊まりいただく新たな施設としての発展を期待しているところです。その他、予算案には物価高騰、人件費の増加、デジタル化など新しい時代への対応を行うものを特徴として盛り込んでいます。
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