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文化のひろば

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岡山県高梁市

■美術館だより
◇高梁市歴史美術館 ~高梁の植物研究家~吉野(よしの)善介(ぜんすけ)
NHK朝の連続テレビ小説「らんまん」では、植物学者牧野(まきの)富太郎(とみたろう)がモデルとなり注目を浴びていますが、牧野博士の指導を受けながら高梁市周辺の植物を調査し、多くの新種発見に貢献した吉野善介をご存じでしょうか。その人物、吉野善介を紹介します。
吉野善介は明治10(1877)年に高梁市本町の薬種商(やくしゅしょう)の家に生まれました。小学校卒業後に家業を継ぎましたが、植物に興味を持ち、仕事の傍ら植物採集を始めます。明治32(1899)年に野生のカザグルマを日本で初めて発見し、問い合わせのためその標本を牧野博士に送ったのを機に、長年にわたり交流が続きました。明治43(1910)年に吉野の自宅が類焼したときには、牧野博士から書籍の寄贈を受けており、その親交の様子がうかがえます。
吉野は新種を含む多くの貴重な植物を発見しました。その中には功績を後世に伝えるため、学名に「Yoshinoi(ヨシノイ)」や「Zensukeana(ゼンスケアナ)」と付けられた植物があり、さらに「ヨシノアザミ」のように和名に名前が付けられた植物もみられます。
昭和4(1929)年には1370種余りを収録した『備中植物誌』を刊行しました。巻頭には牧野博士および植物学者・小泉(こいずみ)源一(げんいち)博士の序文が掲載されています。また、翌年には岡山を訪れた昭和天皇に献上する栄誉を得ています。吉野の情熱は晩年になっても衰えず、吉野植物研究所を設立し、機関誌を発刊するなど活発に活動を続けました。昭和23(1948)年には第1回岡山県文化賞を受賞しています。吉野は、詩人の永瀬(ながせ)清子(きよこ)、天文家の本田(ほんだ)実(みのる)と共に受賞したことを「星と花歌よむ人もえらばれて平和文化の春の岡山」と詠み喜んでいます。
「らんまん」は9月まで放映が続きます。ドラマを見るときに、高梁の植物学に貢献した吉野善介のことをちょっと思い出していただけたら嬉しいです。

※吉野善介および牧野富太郎については、備陽歴史研究会の石井(いしい)良夫(よしお)会長に多くをご教示いただきました。深く謝意を表します。

■各施設の展示一覧 ※開館日や開館時間が変わる可能性があります。

入館無料の対象:市内在住の小・中学生(学校休業日に利用する場合)/障害者手帳を持つ人と介助者1人/市内在住の65歳以上(歴史美術館と成羽美術館は対象外)

問合せ:常設のみの施設
山田方谷記念館【電話】22-1479
景年記念館【電話】21-1516(社会教育課)

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〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

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