元気に活動する力はもちろん、食べる前のワクワク感、クラスメートと協力するうれしさ、食文化を知る楽しさ、一生ものの食の知識。
こどもたちが学校給食から得るものは、栄養とカロリーだけではありません。
12月24日は「学校給食記念日」。
昭和21年、児童の栄養失調を救おうと、東京などで試験給食が開始された日にちなみます。
そこで、12月号では学校給食に注目。
本市の取り組みを紹介します。
■こどもたちの笑顔のために 安心
▽毎日の給食はどこで、どうやって作られているのでしょうか。
旬の野菜を使ったみそ汁、肉や魚の主菜、優しい味わいのスープ、煮物、中華煮、豚キムチ、ミネストローネ…。本市の学校給食の献立表には毎月バラエティーに富んだメニューが並んでいます。
これらの給食を調理しているのは、西部・西部第二・真滝・花泉・大東・千厩の六つの学校給食センター。市立の小・中学校向けに、栄養教諭や調理スタッフら約150人が1日最大約7600食を提供しています。
センターが最も大切にしていることは「安心」と「安全」。こどもたちの健康を守るため、衛生管理を徹底しています。例えば、センター内は調理工程に応じて区画が分けられ、調理員や台車などの行き来はできません。調理設備は床に水が落ちないように設計されており、細菌の繁殖を防いでいます。また、調理中は何度も温度を計測し、食材が基準の温度に達しているかのチェックを欠かしません。
出来上がった給食は教室ごとの食缶に分け、各校に配送します。調理終了から給食開始までの時間をなるべく少なくするため、トラックの出発時間ギリギリまで作業が続きます。
市は地産地消の取り組みに力を入れており、各センターに1~2人配置された栄養教諭や学校栄養職員が地元産の食材を多く使うよう献立を決めています。中でも米とこどもたちが飲む牛乳は100%が一関市産です。農業が盛んな市ならではの品質の高い食材がこどもたちを育てています。
食材を生産する人、献立を考える人、調理する人、運ぶ人…。たくさんの人たちの連携プレーで、おいしい給食がこどもたちに届けられています。
・真滝学校給食センター
今回は給食ができるまでの様子を真滝学校給食センターで取材しました。調理スタッフ19人、運転手5人が5小学校、2中学校に1日約1500食を提供しています
▽学校に給食が届くまで 真滝学校給食センター〜南小学校
(1)食材の納品(8:00ごろ)
届いた食材をチェックします。野菜類と、肉・魚類は搬入口が別々になっています。
(2)下処理
野菜を洗ったり切ったりします。野菜は3回洗い、虫や汚れを取り除きます。
(3)調理
大きな回転釜やオーブンを使って調理します。途中で温度や塩分の測定をします。
(4)配缶
各教室用の食缶に料理を分けます。
(5)配送(11:00ごろ〜)
食缶を学校ごとのコンテナに入れ、配送車に積み込み、各学校へ届けます。
(6)検食(11:40ごろ)
提供される給食に異常がないか、こどもたちが食べる前に校長先生が試食します。
(7)配膳
給食当番のこどもたちが給食を配膳します。
(8)いただきます!(12:30ごろ)
※詳しくは本紙をご覧ください。
Q.献立を考えるときに心掛けていることは?
真滝学校給食センター 栄養教諭 大内田(おおうちだ) 敬子(けいこ)さん
献立は、地元の物や旬の食材を取り入れることを心掛けています。一関はおいしい食材がたくさんあり、特に野菜はとても新鮮。こどもたちが食事に興味を持てるよう、調理法や和・洋・中の味付けで変化を付けて、楽しく食べられるように工夫しています。苦手な野菜や家庭でなじみのない食材が出てくるかもしれませんが、こどもたちの食の体験を広げたいと思って提供しています。味覚を育てるため、和食の汁物のときはだしを取るところから始めるなど、本来の味わいを大切にしています。
各校に好きなメニューを募るリクエスト給食では、「あの味が忘れられません」とか「あれをまた食べたい」といったコメントがもらえるので、読むのが楽しみです。各校を訪問して食育授業も行っていますが、栄養の知識は一生役立つもの。将来スポーツに励んだり、何かを頑張りたいと思ったりしたとき、給食で出ていた栄養バランスの良い食事のことを思い出してくれればうれしいです。
Q.調理員さんの願いは?
株式会社東洋食品(調理業務受託事業者) 鈴木亘(わたる)さん・鈴木真由美(まゆみ)さん
いつも安全とおいしさのことを考えて調理をしています。大量の野菜を扱うときは異物が混入しないように特に気を付けています。こどもたちが給食を食べて元気に過ごしてくれることを願っています。
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