2月6日、本町が当面の自立・持続の基本姿勢を宣言してから20年を迎えました。
2000年代初頭、「平成の大合併」の嵐が吹き荒れ、岩手県内でも平成23年(2011年)までに59市町村が33市町村となる中、住田町は合併ではなく、自立・持続の道を選択するとともに、それが成り立つための4つの条件を設定しました。
本特集では、本町が自立・持続を選んだ経緯とそのための4つの条件を町民の皆さまと再共有し、今後も住田町が自立した町であり続けるための町の決意をお知らせします。
■国による合併の推進
「平成の大合併」とは、地方分権の推進に加え、広域的な行政需要の増加などの背景から、市町村合併に関する法律の改正により、2005年前後から国策に基づいて行われた市町村合併のことです。この合併により、およそ3200あった市町村の数は1800弱まで減少しました。
この合併は、主に行政規模の拡大・効率化、行政サービスの維持向上を図る観点から推進され、合併を選択した市町村には、合併後のまちづくりのために合併特例債や合併算定替などの手厚い財政支援が付与されました。
合併をすることのメリットとしては、議員や職員の数が減少することで人件費などの費用の削減や地域の課題に対して広い地域で一体的に取り組めるなどの点がある一方で、デメリットとしては、合併により役所が遠くなるといった不便さが増すことや住民一人一人の声が届きにくくなるなどの点が挙げられます。
このような状況の中、本町においても、合併または自立・持続どちらの道に進むべきかを検討しました。
■自立・持続の道を選択
町では、平成14年4月に市町村合併問題を含めた調査・研究を行う地域経営研究委員会を設置。同委員会では「合併よりも自立・持続」を選択し、その理由や自立・持続に達成不可欠な4つの条件などを内容とした「地域経営に関する研究レポート」(素案)を取りまとめ、地区懇談会での意見や提言を含め、さらに研究を継続していきました。
翌年の平成15年2月5日、重要課題を克服するための具体策・プロジェクトSなどを盛り込んだ最終レポートを多田欣一町長(当時)に提出。6日、多田町長はこのレポートの提出を受け、内容を全面的に支持・尊重するとともに、地区懇談会、議会などの状況を総合的に判断し、当面は自立・持続という基本姿勢を県内市町村では最も早く記者発表しました。
その後、2回目の地区懇談会にてこの基本姿勢を町民の皆さまに説明したところ、自立・持続を望む声が多く、異論の声が上がらなかったため、町議会3月定例会にて正式に自立・持続の基本姿勢を明らかにしました。
■本町の地域づくりの理念
(1)住民と行政が一体となった地域づくり
(2)きめ細かい行政対応を基本とした地域づくり
(3)「農林業」・「自然との共生」を基軸とした地域づくり
この理念を踏まえ、本町は合併するべきか…
↓
当面は「住田町」として自立・持続
理由(1)
個性的な地域づくりの基礎となってきた現在の体制
・規模を壊すことへの疑問
理由(2)
効率化のみを論ずることへの疑問
理由(3)
特性の異なる地域と合併することへの疑問
理由(4)
都市の周辺部より独立農山村を目指す
理由(5)
持続可能な財政状況
理由(6)
地形的な独立性などのその他の条件
■自立・持続宣言後の町の姿
上記のとおり、町では、自立・持続が成り立つための具体策として「プロジェクトS」、また、達成不可欠な条件として「自立・持続のための4つの条件」を掲げました。
町総合計画においても、現在に至るまで自立・持続宣言当時の基本理念を受け継ぎながら、その時々の課題に合わせた取り組みを継続しております。以下ではそれらの取り組みについて紹介します。
▽「自立・持続のための4つの条件」
▽「プロジェクトS」
Sumita(住田)・Soft(ソフト事業)・Sustainable(持続可能)の頭文字から採った3つの事業群
■町長から町民の皆さまへ
当面の自立・持続を宣言してから20年という節目を機に、町民の皆さまと自立・持続のための条件を再認識し、今後のまちづくりを進めてまいります。
自立・持続宣言後の20年を振り返りますと、印象的な出来事として東日本大震災に伴う陸前高田市・大船渡市・大槌町への後方支援が挙げられます。この被災地への支援によって、町民同士の絆が強く結びついたと感じております。
今後も、お互いが支え合い誰一人取り残さないまちづくり、国・県との人事交流制度などを活用した組織運営、行財政運営の効率化を進め、4条件に対して取り組んでまいります。
最後に、町民の皆さまには、今後も次の世代が安心して暮らせる町としていけるようまちづくりへの積極的な協働・参画をよろしくお願い申し上げます。
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