モリダイDASH食のすすめ Special Feature

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盛岡大学栄養科学部氏家研究室で開発中
減塩だけでなく、ミネラルと食物繊維も取る食事

■氏家(うじいえ)研究室の取り組み
「誰一人取り残さない臨床栄養管理」
盛岡大学栄養科学部栄養科学科氏家真梨(まり)先生の研究室では、この言葉をテーマに掲げ、管理栄養士の業務や栄養改善活動に関する研究を行っています。現在所属する学生は、同科4年生の小笠原奏恵(おがさわらかなえ)さん、畠山渚(はたけやまなぎさ)さん、佐々木七夕(ささきなゆ)さん、平野陽菜(ひらのはるな)さん、苫米地悠奈(とまべちゆうな)さん、尾形瑠香(おがたるか)さんの6人。管理栄養士を目指し、日夜、氏家先生の下で勉学に励んでいます。
そうした中、昨年から、大学が立地する滝沢市に焦点を当て、健康課題の調査を開始。「第2次滝沢市地域保健計画の中間評価から見える課題」を分析する過程で、市の特徴として見られた3点の課題に着目しました。
(1)国や県と比較し、高血圧の人が多い｟特に40歳代｠
(2)主食・主菜・副菜をそろえたバランスの良い食事をする人の割合が減少している
(3)朝食を食べる人の割合が減少している
そしてこれらの課題の影響として、
(1)過剰な食塩摂取による脳卒中死亡率の増加
(2)バランスの悪い食事による生活習慣病リスクの増加
(3)朝食の欠食は高血圧症発症リスクの増加に関与すること
が挙げられることを文献調査などから分析。市民が抱える健康課題を解決するため、臨床栄養管理を学ぶ6人の学生たちは「モリダイDASH(ダッシュ)※食」の開発を決意します。

■モリダイDASH食の展望
DASH食とは、血圧を下げる働きを持つミネラルや食物繊維を増やし、血圧を上げる原因となる飽和脂肪酸やコレステロールの摂取量を減らす食事法で、1990年代にアメリカで提唱されました。さまざまな役割を持つ栄養素を増やしたり減らしたり組み合わせることで、効率的に血圧を下げることができます。食塩摂取量の多い日本食の場合、減塩と組み合わせるとさらに効果的であり、他の生活習慣病の予防や改善にも期待できるという研究結果も出ています。
このような栄養改善の目的に加え、地産地消の観点から「滝沢らしさ」を盛り込み、開発したDASH食をモリダイ生自らが健康情報の提供などを通して広めていくことで、市民の健康改善にアプローチすることが「モリダイDASH食」の展望です。
※DASH(ダッシュ)…Dietary(ダイエタリー)Approaches(アプローチズ)to(トゥ)Stop(ストップ)Hypertension(ハイパーテンション)

■メニュー第1弾の考案と試作
学生たちは、DASH食の栄養基準に合わせながら、栄養バランスや彩り、市内または県内で生産されている食材であるかなどを考慮し、今年の春休みからDASH食に関する情報収集とオリジナルメニューの開発に専念してきました。
そして第1弾として、夏に提供することを想定した次の11品から構成される弁当を考案。5月17日、いよいよモリダイDASH弁当の試作会が実施されました。
(1)枝豆と桜エビの混ぜご飯、(2)麦ごはん、(3)イワシ団子、(4)焼きトウモロコシ、(5)エビ・ブロッコリー・クルミのガーリック炒め、(6)きのこと海藻の酢味噌あえ、(7)糸こんにゃくの中華風サラダ、(8)夏野菜の酢鶏、(9)ズッキーニのレモンサラダ、(10)切り干し大根とニンジンのカレー炒め煮、(11)滝沢スイカのジュレ
どの料理も塩分を抑えるためのさまざまな工夫を凝らしたメニューとなっています。また、試作会では味の確認だけでなく、例えばスイカのジュレを2パターン作って比較した他、弁当箱という限られた大きさに収めるため、自分たちの描いたイメージと実際の配置についての改善点なども話し合いました。

■高血圧だけじゃないーみんなで一緒にDASHしよう!
試作会を経て、材料の量の調整や調理の工程で気を付けるべき点など、いくつかの課題を発見した6人の学生たち。今後も改良を重ねながら「減塩でもおいしい食事」を目指し、DASH食を通じて減塩食に対するハードルを下げることも狙いとしています。
将来的には、市内施設での弁当販売も模索中。並行してパンフレットの作成や健康教室の開催など、モリダイDASH食を軸とした多角的なアプローチを展開することで、市民の健康課題の解決を目指します。
いつまでも健康に暮らしていくためにー。栄養改善のプロを目指す大学生たちが考案するモリダイDASH食。今後「市民にモリダイDASH食の考えを少しでも広げることができれば」という6人の思いの実現に向け、氏家研究室では研究活動を継続していきます。

問い合わせ：健康づくり政策課
【電話】656-1377