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自治体の皆さまへ

男女共同参画の視点で防災を考えよう

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岩手県盛岡市 クリエイティブ・コモンズ

男女共同参画を考える情報紙
「あの・なはん※」
No.94
※盛岡弁で「あのねぇ」と呼び掛ける言葉

男女共同参画とは…
誰もが、性別などにかかわらず、社会の対等なパートナーとして、あらゆる分野の活動に加わる機会が確保され、均等に利益を受けることができるとともに、責任も担うこと。

市では、性別などにかかわらず、誰もが自分らしく生き生きと暮らせる街づくりを目指し、男女共同参画に取り組んでいます。これまでの災害の課題から、防災に男女共同参画の視点での取り組みの重要性が認識されるようになりました。
今号では、東日本大震災を例としていつ起こるかわからない災害に備え、さまざまな視点で普段から私たちができることについて考えます。

■東日本大震災時…避難所ではこんな困難がありました。
▽女性の声
・ミルクやオムツ、生理用品などがなかった
・周りに男性がたくさんいる中で支援物資の生理用品を受け取りに行くのが恥ずかしかった
・物資をもらうにも、小さな子どもたちを抱えていかなければならず、大変だった
・女性や立場が弱い人が要望を出したり、発言するのは難しい
・炊き出しを、女性が休みなく延々と担っていた
・着替えする場所や授乳する場所がなかった
・ドメスティックバイオレンスで離婚調停中の夫が避難所に探しに来て、気持ちが落ち着かなかった

▽男性の声
・復旧作業は男性の仕事。体がきつい
・苦しくても弱音を吐けない
・役員だから、リーダーだから…責任や負担を背負い込んでしまった
・運営の人手が足りないが、女性や高齢者に頼るわけにはいかない

引用・参考:
『東日本大震災における支援活動の経験に関する調査』東日本大震災女性支援ネットワーク 調査チーム
『聞取り集:40人の女性たちが語る東日本大震災』イコールネット仙台
『東日本大震災:被災地の若年女性調査と提言 Tohoku Girls’ Voices』オックスファム・ジャパン
大阪公立大学 高等教育推進機構 堀久美客員研究員 論文

▽なぜこのような状況が生まれたのでしょうか。
私たちには、普段から「男性は外で仕事をし、女性は家のことをするもの」「男性はリーダー、女性は補助」というように、無意識な思い込みで性別による役割分業をしている例が数多くあります。
災害対応や避難所運営においても、このような思い込みから、運営や意思決定は男性に偏りがちであり、女性の意見が反映されにくい、互いの困りごとに気が付きにくいといった状況が生まれています。

管理運営は男性?炊き出しは女性?
運営は双方で。
一人一人に合った役割分担を。
互いの意見を尊重。

▽いろいろな人の声を反映させよう
避難所の運営には、多様な視点が必要です。
性別、年齢などにかかわらず、さまざまな立場の人が運営や意思決定に関わることで、視点が広がり、避難所の環境改善や多様なニーズにも対応しやすくなります。

■普段からできることを考えてみよう
▼家庭で…
役割を固定化したり、誰か一人に任せきりにしないのが大事!

▽防災バッグの中身は自分で考え、準備をしましょう
必要なものは一人一人違います。

▽普段から家事・育児・力仕事などの役割を固定せず、各自ができることを増やしましょう
災害時、みんながそろっているとは限りません。

▼地域で…
普段から交流を持つことで、身近な助け合いや、意見の出しやすい環境づくりにつながります

▽地域の活動や運営に関わる人が、特定の性別や年齢などに偏らないようにしましょう
多くの視点が加わることで柔軟な運営が生まれます。

▽女性や子ども、若者も参加しやすいように時間などを工夫して防災講座を実施しましょう
お祭りやイベントなどに盛り込むことも効果的です。

▼エンパワーメント11(い)わて 髙橋 福子(ふくこ)さん
普段の暮らしの中で、「非常持ち出しリュックを背負って歩いてみる」「非常食を食べてみる」など、実際にやってみることが大事。さまざまな気付きがあります。

▼いわて多様性と災害研究会 佐々木 裕子(ゆうこ)さん
疑問や違和感などから生じる「もやもや」を大事にしましょう。自分だけでなく、みんなの問題解決にもつながります。それぞれのニーズや意見を言える環境、多様な声を聞くことができる環境が大切です。

■盛岡市の避難所運営
「盛岡市地域防災計画」や「避難所運営マニュアル」には、
・運営本部は男性女性が同数になるようにすること
・トイレは防犯や安全・安心に配慮して、設置すること
・着替えや授乳などのスペースを確保すること
・介護の必要な人や性的マイノリティ、外国人などへ配慮すること
など、皆さんが安心して過ごすための項目を盛り込んでいます。

災害時における避難所の開設や運営は、最初は施設管理者と協力し、市職員が行いますが、大規模災害などで避難生活が長期化する場合は、地域住民や避難者の皆さんを主体とする避難所運営本部による運営に移行します。
避難所の広さ、その時々の状況などにより、全てを満たすことが困難な場合もありますが、皆さんが協力や工夫をすることで、安全・安心な避難所にすることができます。

担当:危機管理防災課
【電話】613-8386

■たくさんの人の視点でみんなが過ごしやすく!
いざという時に、多様なニーズや困りごとに対応するには、普段から「男性だから」「女性だから」「こうあるべき」といった慣例や思い込みにとらわれず、意見を交わし、多くの人の声を拾い上げていく男女共同参画の視点が大切です。
あなたの声はみんなの声かもしれません。お互いの意見を尊重し合える環境を築いていきましょう。

■もりおか女性センター「防災出前講座」のご案内
もりおか女性センターの職員が地域に伺い、多様な視点で見る災害時の困難や、日頃からできる防災対策についてお話をします。地域の研修や行事などで活用してみませんか。

問合せ:もりおか女性センター
【電話】604-3303

問合せ:男女共同参画推進室
【電話】626-7525

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