■tumiki club
安藤賢
ANDO MASARU
宮大工として培った技術を生かしながら、新しいモノづくりに励む安藤賢(まさる)さん(小玉川)。レーザー加工機を使った繊細な模様のコースターやピアス、木の器などデザインにこだわった作品を手がけている。11月21日に仙台市で行われた「第11回新東北みやげコンテスト」では入賞作品に選ばれた。
「宮大工になりたいんです」——高校卒業後の進路について先生に聞かれとっさに出た一言だった。テレビで放送されていた東大寺の国宝・仁王像の解体修理が思い浮かび、軽い気持ちで答えたつもりだった。その言葉どおり卒業後は県内で宮大工としての道を歩き始めた。
宮大工の傍ら、新しいことに挑戦しようと工房「tumiki club(ツミキクラブ)」として活動を始めた。新たな技術を習得するため、刃物の使い方や木の器の作り方を学び、作業場にはレーザー加工機を導入。日本の伝統模様やアラビア模様などを参考に、試行錯誤を重ねようやく形になってきた。「商品につながらない失敗や無駄の積み重ねで今の作品がある」と当時を振り返る。材料は自身の山から切り出した山桜で、適度な硬さとしなやかさが特徴。山桜を使うことで、安藤さん独特の細かなデザインが引き立てられる。
「成功するかわからないがとりあえずやってみよう」と自分の好きな方向に進んできた。「好奇心と共に、このままで大丈夫かという不安も大きい」と率直な気持ちも吐露する。新しいことにチャレンジし、柔軟な発想と感性でこれからも自分だけの作品を作り出していく。
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