■町ぐるみで子育て環境の醸成を
▽子育て環境日本一をめざす取り組みについて、お伺いします。
山本町長:これまで学校給食費、保育料等の完全無料化を順次行い、昨年は1歳までのおむつ支給も始めました。2025年度に一新される県立軽米高校の制服にも助成し、子育て世代の経済的負担の軽減を図っていきます。もちろん財政状況も考慮しながら、要望の高い子供の遊び場、若者住宅の整備等も進め子育て環境のより一層の向上を目指したいと考えています。
松浦議長:人口減少や少子化の一番の要因は高い未婚率と考えます。令和5年度の出生数は18人でしたが、6年度はすでに上回っており少し安心しました。なんとか少子化問題を解決したいと思い人口減少・少子化対策調査特別委員会でも、天候に左右されない屋内型の遊戯施設、子供の遊び場の整備を検討いただきたいと提言しています。近隣の八戸、二戸、久慈などからも遊びに来るような、子育て環境日本一をめざすにはぜひ必要な施設と考えます。
山本町長:経済的負担の軽減だけでなく、町ぐるみで子育て支援の機運を高めることも大事です。沖縄をはじめ子供の数が増えている地域は、子育てに対する地域の理解と連携、助け合う態勢があると聞きます。地域で育てる環境づくりも広めていきたいです。
松浦議長:小学校PTAの親御さんとの懇談会では、子供が病気になったときに預けられる病児、病後児施設があると安心して子育てができるとの話がありました。実現のハードルは高いが、若い世代の声を、町では何とか実現に向けて検討してほしいです。
■若者定住対策に重点、具体策も
▽「人口減少対策」の一つとして立ち上げた若者定住促進プロジェクトについて伺います。
山本町長:町が重点的に取り組むべき課題としてプロジェクト事業に位置付け、昨年7月から検討を進めています。若者自らが住宅建設する場合の支援をはじめ宅地分譲、空き家住宅の活用、住宅家賃の支援について、町有遊休地の活用とともに全庁挙げて具体策の検討を進めています。
松浦議長:議会でも提言してきましたが、取り組み状況が見えなく歯がゆさを感じています。移住促進住宅は即座に少子化対策につながると考えます。最近、住宅の建築単価が高騰していますが、町内でも若い人が住宅を求めていると感じます。まず第一歩を踏み出してほしいです。
山本町長:プロジェクト事業として検討を進めていますので、25年度中には予算化をしていきたい。具体的には軽米高校の旧寄宿舎の解体撤去も進んでいますし、隣接する県所有の医師公舎跡地と一体的な活用を考えています。旧青少年ホームの解体撤去も今年度進めていますので、いずれ目に見える形にしていきます。
▽再生可能エネルギーは将来、どのように展開していくと考えますか。
山本町長:これまで太陽光発電事業を推進してきました。国では2040年度までに再生可能エネルギーの割合を全体の4割から5割まで増やすとしています。中でも風力発電が中心に増えていくと考えています。当町は風速7、8メートル程度あり、地形が比較的平坦であり風力発電にも適していると言われています。ただし自然環境の調査や災害等が惹起しないよう十分な配慮のもと進めなければなりません。発電施設は、点検・管理等が必要となり雇用の確保にもつながります。当町では再エネ施設関連の固定資産税が、平成24年度から10年間で2・68倍となり、町税全体も2倍に増えています。これからも税収と雇用の拡大も図りながら再エネ事業を展開していきたいと考えています。
松浦議長:再エネ事業は山本町長の代名詞として、東日本一の発電規模とも言われています。CO2排出削減の観点から、先ほどの固定資産税の税収を活用して、一般家庭に蓄電池と発電設備で電力自給できる環境作りも必要ではないでしょうか。町全体に再エネの恩恵が行き渡るような施策の展開を望みます。
■再エネ利用でCO2削減を
山本町長:もちろん再エネで発電した電気を地産地消することは大事なことです。東京都では各住宅に太陽光や蓄電池の設置を義務化するとしていますが、そこまでではなくても、電気の地産地消ができる環境づくりは考えていきたいです。
松浦議長:町民の皆様も地産地消に取り組んでいただきたい。国の補助等を活用しながら一般家庭にも広めていくことも大事です。太陽光発電設備も以前に比べれば価格が半分近くに下がっています。年に何世帯かずつでも太陽光発電導入に取り組んでほしいですね。
山本町長:再エネの構想はたくさんありますが、いずれ5年後、10年後を見据えてくことが大事だと考えています。
■農業への支援・後継者育成を
▽最後に町民の皆様にメッセージをお願いいたします。
山本町長:軽米町は農業が基幹産業です。しかしながら資材、飼料、燃料等が高騰してコスト高となり年々経営が厳しさを増しています。今後、遊休農地での飼料作物の奨励、堆肥・鶏糞灰等の利用などで、地域で賄えるものは地域で賄うという地域循環型の農業を一層進めなければと考えています。それと小軽米地区の圃場整備事業など営農環境を改善していきたい。昨年はホップ栽培に若い夫婦が地域おこし協力隊で着任しました。こうした方々を増やしながら、地元の農業後継者の方には親元就農支援制度を活用いただき、しっかりと農業を守り育てていきたいと考えています。
松浦議長:若者や女性の声を議会に取り入れるべく立候補を促す取り組みが全国で進められています。町議会でも一般質問を見直し一問一答方式を導入し、時間制限を設けました。政治に参加しやすい環境、町民の思いを反映した議会改革を今後も進めていきます。
山本町長・松浦議長:本年が町民各位にとりまして輝かしい一年になりますようお祈りを申し上げます。
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