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〈第9回〉そうだったのか!がん専門医による抗がん剤のお話

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島根県奥出雲町

内科 診療部長 池尻文良(いけじりふみよし)
[免疫チェックポイント阻害薬の副作用]
前回は免疫チェックポイント阻害薬の効果についてお話をしました。今回はその副作用について説明します。吐き気や抜け毛、ひどい倦怠感(けんたいかん)、免疫力が低下し感染症を起こすなど、皆さんがイメージされる抗がん剤の副作用はほとんど出ません。ガラッとかわった副作用が出ます。というのも、免疫チェックポイント阻害薬は免疫細胞を活性化させ、がん細胞をやっつける治療法です。免疫細胞が、がん細胞だけを攻撃してくれればよいのですが、勢い余って自分自身の正常な細胞も攻撃してしまうことがあるのです。
比較的多い副作用は間質性肺炎です。免疫細胞が肺の正常細胞を攻撃するために肺炎が起こります。同じような理屈で、甲状腺組織を攻撃すると甲状腺炎が起こり、腸の細胞を攻撃すれば腸炎による下痢を起こします。比較的珍しいのですが、すい臓のインスリンを作る細胞を攻撃してしまい、1型糖尿病という糖尿病を引き起こすこともあります。ほかにもさまざまな臓器で免疫細胞が自分の正常細胞を攻撃することがあります。
このように免疫チェックポイント阻害薬も完璧な薬ではなく、いままで抗がん剤治療を行ってきた医者もあまり経験しないような副作用が出現します。このような多彩な副作用に対応するうえでも、抗がん剤のスペシャリストである『がん薬物療法専門医』のニーズは非常に高まっています。抗がん剤を扱う医者は当然このような副作用にも精通しているからです。
実はこの『がん薬物療法専門医』は2024年10月現在、島根県にたった15名しか存在しないのですが、そのうちのなんと2名!が奥出雲病院に在籍しているのです。私と鈴木院長です。鈴木先生はもともと外科の先生ですが、大変な努力をしてこの資格を取得しておられます。(島根県の15名のうち14名は内科の先生で外科の先生は鈴木先生おひとりなのです!外科の先生が取得するのはとても大変な資格です)
奥出雲病院は都市部の大きな病院に引けを取らないような抗がん剤診療が可能な病院なのです。お困りのことがあれば是非、当院に相談してくださいね!

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