美味しいものはここにある
〔地域おこし協力隊〕岡田さつき
令和3年度から地域おこし協力隊として「人がつながるたまりばづくり」をめざして活動しています。その中で、地域の生産者と消費者のつながりを作れないかと、昨年の3月に黒田町で始めたのが、月一回の小さな八百屋「くろだ軒先マルシェ」です。
黒田町には、江戸時代から伝わる「黒田せり」という冬の伝統野菜があります。おひたしや胡麻和えなどで香りと歯ごたえを味わうことができ、お正月には醤油ベースのお雑煮に彩りを加えます。また、出汁にさっとくぐらせた黒田せりを添えたおでんは「松江おでん」と呼ばれる名物料理だそうです。近年黒田せりは生産者も生産量も少なくなっており、若い世代にはその存在すらあまり知られていません。そこで、まずは地元の皆さんに黒田せりを紹介しようと考えたのも、軒先マルシェを始めたきっかけのひとつです。
当初は生産者の皆さんと一緒に販売して、買いに来られた人と交流してもらうつもりでしたが、実際には、そうしたことに割く時間や人手がないという厳しい実情も学びました。そこで、生産者のさまざまな工夫やご苦労、おいしい食べ方などを、私たち運営メンバーからお客さまにお伝えするよう心掛けています。
スーパーでは日本や世界の各地から届いた色々な野菜や果物を1年中買うことができて便利ですが、自分の住む地域で育ったその季節ならではの旬の作物を待ちわびるのも、とても楽しいことなのだと実感しています。
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